この記事 こんな思いで書いています
この書評は、本の内容を整理するだけでなく、
中年期に感じる行き詰まりをどう越えるか
という視点で書いています。
※本の要点を先に知りたい方は、途中の見出しから読めます。
※ここからは、個人的な実感や迷いも含めて書いています。
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Help me! ~いやあ、しんどいなあ
今回のお悩み:
「刺激や達成感がないと、自分は怠けているのではないかと感じてしまう」
そんなに追い込まないで
Who are you? ~どんな内容?
77冊目はこちら!『この世界の片隅に』【全3巻】(双葉社、通常版 第1巻は2008年1月12日発売)でございます。※新装版は2022年発売 上下巻
今回は新装版ではなく通常版での紹介となります。
上巻 中巻 下巻の3冊セットです
著者はこうの史代氏。広島県広島市出身。広島大学理学部中退。広島大学ではイラストマンガ同好会に所属。上京後に、とだ勝之氏、谷川史子氏などのアシスタントを経験したのちに『街角花だより』(双葉社、1995年)でデビューされます。
2004年『夕凪の街 桜の国』(双葉社)第8回文化庁メディア芸術祭漫画部門大賞および第9回手塚治虫文化賞新生賞受賞!
そして2009年『この世界の片隅に』(双葉社)で第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞!
わたしのこの世界で出会ったすべては
わたしの笑うまなじりに
涙する鼻の奥に寄せる眉間に
ふり仰ぐ頸に宿っている
引用:『この世界の片隅に』(上巻 表紙帯)
広島市江波で生まれ育った少女・浦野すずが、18歳で呉の北條周作に嫁ぎ、戦時下の生活を送る中で、空襲・原爆・敗戦といった時代の激流に翻弄されながらも、「日常」を懸命に生き抜いていく姿を描く作品です。
基本的に主人公・すずの目線で物語は進みます。この当時の価値観、社会通念、なによりも戦時下という特殊な状況を垣間見ることが出来、とにかく興味深い。しかし「戦争は悲惨だ」というメッセージを前面に持ってきているわけではなく、この時代に生まれてしまった「アンコートローラブル」な世界を当たり前のように受け止めているこの時代の一般的な人たちが、笑い、戸惑い、泣いて、そしてまた前を向いて歩いていく姿が紙面上で展開されています。
物語の構成上のポイントを2つ挙げます。
「時代ガチャ」という概念は存在しない
何でこんな世界に生まれたんだ!私は不幸だ!時代ガチャ失敗だ!
この思考自体が「比較できる時代を知る、またはそんな別の時代をいま生きている」人間だからこそ生まれるものである。そう考えると分かりやすい。
つまり当時は、空襲警報が鳴り、防空壕に隠れ、焼夷弾が降る。それが普段の生活だった。そんな生活の中で人々は楽しみを見出し、笑っていた。
健気だわアータ
だからそれも後世を生きる側の感想であって…
あと各話のタイトルにも仕掛けがあります
タイトルが「○年○月」
「19年2月」「20年4月」と表記されます。
そうです。舞台は広島。あの瞬間までのカウントダウン。物語はあの時間に向かって進んでいく。そしてそれはすずのかけがえのない日々、そして…ある記憶でもある。
日々の記憶のほかに なんの記憶なのよアータ
必ず見返したくなります!
それでは各巻をご紹介しましょう!
Line Up ~上&中&下 紹介!
『この世界の片隅に 上』
上巻の始まりは1934(昭和9)年1月、すずの「冬の記憶」から始まります。当時すずは8歳。当時の日本は満州国を建国、ラストエンペラー溥儀を擁し、傀儡国家として支配していました。
この物語はそんな時代の日本から始まります。
上巻ハイライト あの人 ばけもんじゃった?
『この世界の片隅に』オープニングの「冬の記憶」。リアルな描写で一貫している物語ですが、唯一奇妙な登場人物が出てきます。
そしてここで運命的な出会いが。
あんがとな 浦野すず
引用:『この世界の片隅に 上巻』
すずが見つかった瞬間です
上巻ハイライト 呉からの来訪者
すずちゃん大事じゃ!すぐ帰り
あんた家から電話があって あんたを嫁に欲しい言う人がわざわざ呉から来とってじゃと!
引用:『この世界の片隅に 上巻』
このシーンの少し後にすずは幼馴染の水原 哲とすずの実家横ですれ違う。お互いの胸の内を知ってか知らずか、思わず頬を赤らめる二人。
………困ったねえ
…いやなら断わりゃええ言われても
いやかどうかもわからん人じゃったねえ…
引用:『この世界の片隅に 上巻』
水原くんじゃなかったのか
夫の名は北條周作。この時代の結婚に至るまでの過程が垣間見れます。
周作好きよクールでいいわアータやさしいし
忍び寄る戦火。上巻は19年7月まで。
19年7月といえばサイパン島の戦い。「絶対国防圏」陥落。アメリカ制空権掌握。日本全土への空爆が始まろうとしていた、そんな時でした。
https://500ji-nihonshi.com/syowa/post-975/『この世界の片隅に 中』
砂糖や石鹸が手に入らず、着物をほどいて服を作る、雑草でおかずを作るなどの「日常の創意工夫」が丁寧に描かれます。一方、すずはある日、港町の遊郭で迷子になり、そこで白木リンという若い女性と出会います。しかしこのリンにはすずの胸をざわつかせる、ある秘密があったー。
中巻ハイライト 束の間のデート
呉鎮守府軍法會議。夫・周作の職場へ帳面を届けるすず。しかしそれは周作がすずを「息抜きさせるため」に仕組んだデートの計画だった。「しみじみニヤニヤしとるんじゃ」すずの笑顔が可愛い!
過ぎた事 選ばんかった道 みな 覚めた夢と変りやせんな
すずさん
あんたを選んだんは わしにとって多分 最良の現実じゃ
引用:『この世界の片隅に 中』
中巻ハイライト 羽有難う
すずの幼馴染の水原 哲 再登場!若干キャラ変、すずの家に泊まる展開へ!そして、水原とすずは納屋の二階でふたりっきりに!仕掛けたのはなんと周作!ここのシーンはどう読めばいいのか。切ない。いや、周作、どういうつもりだったんだアンタ!
…………水原さん
うちはずっとこういう日を待ちよった気がする…
引用:『この世界の片隅に 上巻』
いやだわアンタどうなっちゃうのアータ
自由恋愛が珍しかった時代。男たちは明日死ぬかもしれない日々の中で懸命に生きていた。だからこそ、周作は…
中巻は20年4月まで。
20年4月といえばアメリカ軍、沖縄上陸。ここから終戦まで沖縄には鉄の嵐が吹き荒れることになります。
https://www.archives.pref.okinawa.jp/news/that_day/15071『この世界の片隅に 下』
20年5月。帝国随一の造船所、鎮守府に空爆。そして周作は海兵団で軍事訓練へ。そして、20年6月。義理姉の娘、晴美の子守を頼まれたすず。
その時。
この表紙は本当に尊い
20年7月。「歪んどる」すずが布団でもの想うシーン。
その先が全てなくなってしまった
ついに訪れた20年8月ー。
I like you! ~紹介する理由
AIでは絶対出てこない!
超個人的私感解説です!
恋愛マンガ
戦時下という制約がかかった中で、それは恋なのか愛なのか分かりはしない。ただ、そこには大切な人を守りたい、という純粋な思い…だけではない何かが確かにあった。
自我と現実とごく普通の感覚
最後のひとりまで戦うんじゃなかったんかね?
(中略)
うちはこんなん納得出来ん!!!
引用:『この世界の片隅に 下』
作中、極めて珍しいすずの号泣シーン。なんだろう、恐らく大半の、あの時代を生きた人々が感じたであろう、思いをすずが代弁している。
つまり。
すずはあの時代を生きたありふれた一般人代表なのである
ここがこの物語の核なんです。冒頭で書きました、この当時の価値観、社会通念、なによりも戦時下という特殊な状況を垣間見ることが出来、とにかく興味深い。ここに行きつくわけです。
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
周作さん ありがとう
この世界の片隅に
うちを見つけてくれてありがとう 周作さん
引用:『この世界の片隅に 下』
突然ですが!!
最終回、しあはせの手紙(○年〇月)
なんてラストだ!
Thank you! ~55秒解決!
今回の【55秒解決】
「特別」じゃなくても人生には意味があることを知った。
思えば人生大半アンコントローラブル
Let’s try it! ~いまからできること
① 自分に「今日は何も達成しなくていい」と許す日をつくる
② 「今日はまぁまぁよかったな」とつぶやいてみる。
③ 寝るまでの間、僅かな明かりで過ごしてみる。
生活の“あたりまえ”に、自分好みの彩りをひとつ添えてみてはいかがでしょう


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