Footmark ~その足跡
深夜特急シリーズでは「もっと知りタイ」様のロードマップを引用させて頂きます。

引用;もっと知りタイ

こちらを参照いただきながら
お読みください
前回は…
『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』!

今回はインド・ネパール!

『深夜特急1』はデリーから始まったわよねアータ?
デリーはインド。しかしこの『深夜特急3 インド・ネパール』にデリーは…


デリーお前何なんだよ
デリーいいのかそれで
デリーデリー
救う気ですかデリーを

なぜ、デリーは『深夜特急3 インド・ネパール』で僅かな扱いなのか。

さあ始めましょう
Who are you? ~どんな内容?
56冊目はこちら。『深夜特急3 インド・ネパール』※初版の単行本(新潮社、1986年5月1日発売)です。
単行本、第2便の前半部分!
『深夜特急』55秒書評はこちらの文庫版(新潮社、2020年7月29日発売)にて書評していきます。引用するページは全て文庫版になります。
それでは見どころです。

深夜特急シリーズは見どころを前半で上げ 後半で解説していくスタイルでお送りいたします
♡ ♤ ♧ ♢
第七章 神の子らの家
インドⅠ…P7
ガンジーが「神の子」と呼んだ最下層の人々の子供たち。彼らのための孤児院であり、学校であり、職業訓練所でもあるアシュラムで、私は”物”から解き放たれてゆく……
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p3)
第七章の見どころ~どういうこと?

なぜデリーに行かずにカルカッタだったのか
香港の熱狂が忘れられない沢木氏はやがて、どの町にも香港の幻影を追うようになります。しかしそれは結局二番煎じであり、本家以上の興奮を味わうことはできないことに気づきます。
香港の呪縛。これから逃れるには、中国の文化圏に属さないところへ行かなければ…
海の向こうのカルカッタには、香港とはまったく違った種類の臭いがたちこめていそうな気がする。カルカッタ、そうだ、悪くない……。
引用:『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(p208)

カルカッタは香港の幻を吹き飛ばしたのか
第八章 雨が私を眠らせる
カトマンズからの手紙…P131
ここカトマンズでは、旅の途中でひとり、またひとりと若者が死んでゆきます。ハシシを吸い、夢とうつつの間をさ迷いはじめると、恐怖感は薄いヴェールに覆われて……
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p3)
第八章の見どころ~どういうこと?

カトマンズからの手紙?
誰からの?
いままでの文末表現は「だ・である調」の常体ですが、第八章は「です・ます調」の敬体です。なぜこのような文体にしたのか?
第九章 死の匂い
インドⅡ…P157
ベナレスは、命ある者の生と死が無秩序に演じられている劇場のような町だった。私はその観客として、日々、遭遇するさまざまなドラマを飽かず眺めつづけていた……
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p3)
第九章の見どころ~どういうこと?
生と死のドラマの町、ベナレス。母なる川、ガンジス。

そして26歳の青年沢木氏の身にも異変が!
さあ、見どころの解説へ移りましょう!
Ganges River ~ベナレスの夜はいつまでも暑く
第七章の見どころ~あそういうこと?

その前に!
ご存じでしたか?インドの都市名が、イギリス植民地時代の英語読みから、現地ベンガル語読みに軒並み変わってきています。今回カルカッタと沢木氏は口にしていますが、2001年以降の正式名称はコルカタになります。

ここでは都市名は原作通りに扱います
で、本題!

カルカッタに上陸した沢木氏は、カルカッタでいちばん賑やかな通りに出るも、その地域は停電しており、無人と思われた路上には、沢山の男たちが横たわっていた。
ヘッドライトに照らされて、男たちの闇の中で赤く光る目を見て沢木氏は…
私はゾクゾクしてきた。その瞬間、これは香港に初めて着いた時の経験と不思議なくらい一致しているということに気がついた。(中略)そして公司とか大廈とかいった漢字の看板が林立する香港の街の中を走った時も、不安とは別に体の奥底から湧きあがってくる興奮を抑えきれなかったが、今またその派手で賑やかな街とは打って変わった暗い街の中で同じような興奮を覚えている。
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p23)

どんな臭いなんだろうカルカッタ
臭いんだろうなハアハア
興奮すな

あとこの章では、野良牛に関する記載があります。タイでは神聖な動物は象でしたが、ヒンドゥー教おける神聖な動物は牛になります。牝牛は牛乳を生産しますが牡牛は何の役にも立たない。

食べるわけにいかないですし
路上で青草を売る女性。青草を目当てに群がる牡牛。牡牛の尻を棒で叩く女性。聖なる神の使途に対する仕打ちとは思えない。
こういった光景に沢木氏は面白味を覚えたのでしょう。
このほかここ日本ではお目にかかれない風景がたくさん書かれています。
さあインドを味わってみましょう!

神聖なんじゃ…うっぷ
第八章の見どころ~あそういうこと?
いままでの「だ・である調」の常体から、第八章は「です・ます調」の敬体へ。
ここの章は非常に美しい。そして冷たい。カトマンズに降る雨。そしてハシシ。そこには怠惰とともにほのかに死の雰囲気がただよう。そしてこの無機質な雰囲気を表す、手紙の形をとる独白。

手紙は内面を紙に落としていく作業。
今までの紀行文から内省へ。

変化球という役割もある

それは長く旅をしているところから来る無責任さ
言葉も少し厳しく、そういう所が逆に新鮮。
ハシシの煙に包まれたような、まるで浮遊するかのような感覚。
この死をイメージする手紙が次章に繋がっていく。
第九章の見どころ~あそういうこと?
大事なのはとにかくここを出るということなのだ。
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p161)

こことはカトマンズのことねアータ
行く先はヒンドゥー教の聖地、ベナレス。
沢木氏は街中を歩き…

引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p186)

引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p191)
ガンジス河で死体が焼かれたり、流されたりする死体を眺め続けました。

カトマンズの漠然とした死の臭いとベナレスの現実的な死体を焼く臭いの対比
しかしこの後、沢木氏この旅初めてのピンチが訪れます!
汽車を降りると、ふらっとした。首筋を手で触れてみると、ひどく熱い。
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p196)
ついに来た、という予感がする。これまで、いっさい病気とは無縁でこられたが、ついにやって来た。(中略)思い当たることがないではない。ベナレスに着くまでの二日間はかなり強行軍だったし、ベナレスに着いても、ろくに疲労を取らないうちから炎天下を歩き廻るということをしてしまった。
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p197~198)
本当にここの部分はうまいなあと思います。死をイメージするところから実際目の当たりにして、最終的にご自身が死の淵を彷徨う…
おいうそ書くなそこまでじゃないぞ

そんなこんなでデリーはもう目前のところまで来ましたが、ご病気が一旦回復されたので、デリーに行かずジャンシーへ。んでもってまた体が熱っぽくなって…

沢木さん何やってんだよ沢木さん
そういうわけでようやくデリーに着いたところで、次巻へ。

ようは色々あったわけねアータ
片付けるなそれで

Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
三島由紀夫が、肉体を鍛えていれば太宰治も自殺しなかったかもしれないというようなことを言いましたが、僕も、とりあえず、こう言い切ってしまいたいと思う。怠惰や倦怠の八十から九十パーセントは、肉体的に健康で疲労が取り除ければ消えちゃうんじゃないか、ってね。飢えた子に食糧を与えれば、三か月で腹がへっこむのと同じで。
引用:『深夜特急3 インド・ネパール』(p236)
ブッタガヤの日本寺で一緒になった此経啓助さんとの巻末対談から。
説得力あるなあ

次回『深夜特急4 シルクロード』へ!
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