Footmark ~その足跡
深夜特急シリーズでは「もっと知りタイ」様のロードマップを引用させて頂きます。

引用;もっと知りタイ

お世話になっております
前回は…
『深夜特急1 香港・マカオ』【後編】!

今回はマレー半島・シンガポールです!

これなんでバンコクからシンガポールまで行ったのかしらアータ?

寄り道っぽいよね
そこも含めて
やっていきましょう

Who are you? ~どんな内容?
55冊目はこちら。『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』※初版の単行本(新潮社、1986年5月1日発売)です。
単行本ですと、第2便の副題はペルシャの嵐になっております。これは文庫本の4巻に出て来るタイトル。つまり本書は第2巻ですが『深夜特急 第一便』の後半部分。
まあ文庫版になると、たいてい巻数を増して発売しますしね。

ところで同じ2巻なのに4巻のタイトルが2巻についているんだろう?ふつう4巻のタイトルは4巻についていなければおかしいじゃないの?
説明したろが いま

『深夜特急』55秒書評はこちらの文庫版(新潮社、2020年7月1日発売)にて書評していきます。引用するページは全て文庫版になります。
この文庫版第2巻では、沢木耕太郎氏が新卒後入行予定の銀行を初日で辞めた理由と、旅に出た動機について触れられています。
それでは見どころです。

深夜特急シリーズは見どころを前半で上げ 後半で解説していくスタイルでお送りいたします
♡ ♤ ♧ ♢
第四章 メナムから
マレー半島Ⅰ
オートバイはマフラーをつけずに走り廻り、タクシーは爆音を残して発進し、バスは絶え間なく警笛を鳴らす。バンコクは東京よりも香港よりもけたたましい街だった……
引用:『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(p3)
第四章の見どころ~どういうこと?
先ほど、キャロも質問しておりましたが、なぜバンコクの後にデリーに行かなかったのか。飛行機のチケットは、
東京→デリー から
東京→香港→バンコク→デリー
に変更したはずです。

なぜマレー半島を
南下したのか
第五章 娼婦たちと
野郎ども
マレー半島Ⅱ…P75
マレー半島を南下してゆく途中、私はペナンで娼婦の館に滞在した。女たちの屈託のない陽気さに巻き込まれ、ピクニックに出かけたり、ヒモの若い衆と映画を見たり……
引用:『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(p3)
第五章の見どころ~どういうこと?
娼婦の館で出会う女、そしてそのヒモの男たちとの奇妙な毎日!

なんでヒモっていうんだろう

さらにサッカーファンには涙物のあの地名も!
第六章 海の向こうに
シンガポール…P171
シンガポールに着いて、”香港の幻影”ばかりを求めて旅していたことに気がついた。今は、中国文化圏に属さない国の、強烈な臭いのする街へ急ぐべきなのかもしれない……
引用:『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(p3)
第六章の見どころ~どういうこと?
ようやく着いたシンガポール。そこには沢木氏が求めていたものはあったのか。そして沢木耕太郎氏が新卒後入行予定の銀行を初日で辞めた理由、そして旅に出た動機がついに明らかに!
さあ、見どころの解説へ移りましょう!
Golden goal! ~ジョホールバルの歓喜
第四章の見どころ~あそういうこと?

なぜバンコクの後にデリーに行かなかったのか早く教えなさいアータ
沢木氏はタイの首都であるバンコクの地を踏みますが、バンコクに抱いていたイメージとのズレに違和感だけでなく、次第に物足りなさを感じていきます。
たとえばオートバイはマフラーをつけずに走り廻る。タクシーは爆音を残して発進する。バスは絶え間なく警笛を鳴らす。うっさいなあ、何だこの街は、みたいな。

また沢木氏は、その土地の文化を求め旅をしていましたが、バンコクの映画館では中国映画やインド映画の看板が目につき、電気屋のTVから流れている番組はアメリカ製や日本製ばかりで、タイを知るとっかかりがつかめない状況に陥ります。
私にとってわかりにくいのはバンコクの街ばかりでなく、人々についても同じだった。誰も彼もが穏やかな優しい微笑を浮かべていると思っていたわけではないが、街を行く人々の鋭さ、暗さ、疲労感の滲んだ顔は、かなり想像外のものだった。たまに笑顔を向けられ、ようやく関わり合えても、なぜか深いところで了解できたという確かな感じが持てない。
引用:『深夜特急2 マレー半島・シンガポール』(p42)
そして沢木氏は、もうこれ以上バンコクにいても仕方がないのかもしれない、と思うようになります。飛行機のチケットによれば次はデリー。
私はその前にもう一度、香港で味わったような、人々の熱気に包まれ浮き立つような日々を送ってみたかった。(中略)その時、ふとシンガポールという地名が浮かんできた。あるいは、シンガポールこそ香港での熱い日々を再現してくれるのに最も適した土地なのではないか。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p73)
ここまで読み進めて、改めて沢木氏にとって香港が印象的な街だった、ということがわかります。そしてその香港の熱気を求め、同じ中国系住民の多い都市国家であるシンガポールを目指すことになります。シンガポールはマレー半島の南方に位置している。

こういった理由でマレー半島を下るわけです
第五章の見どころ~あそういうこと?
当面の目標をシンガポールにした沢木氏。バンコクからシンガポールまで普通列車で、まさに「ぶらり途中下車の旅」に出発します。
バンコクからチュムポーン、スラタニー、ソンクラー、ハジャイ、そして第五章のハイライトの地、ペナン!ここで泊まった娼婦の館で沢木氏は娼婦たちにマレーシア語を教えてもらったり、差し入れをもらうなどして仲良くなります。結局ペナンは二、三日の滞在予定でしたが、一週間以上留まることになります。
しかし、二、三日の滞在のつもりがついつい一週間以にも伸びてしまったのは、彼女たちとの付き合いが面白かったからというだけではなかった。ここは陽気な娼婦の館であるばかりでなく、陽気なヒモの館でもあったのだ。このヒモたちが面白かった。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p139)
娼婦とヒモと沢木氏の交流。これだけで映画になる!また沢木氏の娼婦の館の去り際もかっこいい!
ちなみにヒモの語源は諸説ありますが、女性をヒモで手繰っていくと男性がいる、という意味からきている、なんて言われています。


じゃあ私たちもヒモだね
ちがう!
あれはリード!


バンコクでは得られなかった充実感が読み取れます!
そして沢木氏は国境の街
ジョホールバルへ!

ジョホールバルって
いったら…

ハッサン・ユーヌス・スタジアム
通称ラルキン・スタジアム
沢木氏の旅から約24年後ー。日本はこの地で初のW杯出場を決めました!
第六章の見どころ~あそういうこと?
シンガポールに着いた沢木氏は、ニュージーランド出身の今年で21歳になる若者二人と食事をします。聞けばこの二人は世界一周をしている。しかし旅自体はようやく1ヶ月経ったばかり。
そこで沢木氏は先輩風を吹かせ、ビールを飲み、今までの体験談を二人に話します。尊敬のまなざしを向ける二人に、すっかり沢木氏は気分が良くなり、その後、ホテルのベッドで出発間際の日本のことを思い出します。
なぜたった一日で会社を辞めてしまったのか。理由を訊ねられると、雨のせいだ、といつも答えていた。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p187)

かっけー
学生時代。雨が好きだった沢木氏は、よほどの雨でない限り、別に濡れてもいい服を着て、雨の感触を感じながら歩いていた。
丸の内のオフィス街に向かって、東京駅から中央郵便局に向かう信号を、傘をさし黙々と歩むサラリーマンの流れに身を任せて渡っているうちに、やはり会社に入るのはやめようと思ったのだ、と。この話に嘘はない。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p188)
つまり「傘」という道具に学生時代には無い、社会のルールという束縛感、息苦しさを覚えた。

それにしても1日はすごい
そしてもうひとつ、旅に出た動機について、です。
大学のゼミナールの教官が、雑誌社を紹介してくれたことがきっかけでルポルタージュの執筆を始めた沢木氏は順調に執筆依頼がくるようになり、三年ほど快適に過ごします。
偶然のことから入った世界だから、いつ出ていってもいいのだ。その思い切りが、自分の好きな仕事を好きなようにやる、という仕事ぶりを支えてくれていた。私は明らかにアマチュアのライターだった。ところが、仕事の量がいつの間にか私を職業的な書き手になるように強いはじめていた。(中略)
その頃からである。どうにかしなくてはならない、と思うようになったのは。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p190)
なぜ海外だったのか。まず第一の理由が、沢木氏がジャーナリズムの世界に紛れ込んだ初期に影響を受けた人物が、「男は26歳になるまでに一度は日本を出た方がいい」と口癖のように呟いていたこと。
そしてもう一つの理由が笑える。
仕事を断る時に「間もなく外国に行くので仕事は受けられない」と言い逃れていたが、やがてこの口実をともに使っていた実のお母さまから、こんなことを言われちゃいます。
私はもう弁解したり嘘をついたりするのはいやだから、とにかく日本を出て行ってくれないか、どこでもいいから外国とやらに行ってくれないか……。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p192)

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私は、春のある日、仕事の依頼をすべて断わり、途中の仕事もすべて放棄し、まだ手をつけていなかった初めての本の印税をそっくりドルに替え、旅に出た。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p192)

でも大事なのはこの後です
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
軌道に乗りかけている、今が大事な時なのに。忠告する人もいた。でも沢木氏は…
それより私には未来を失うという「刑」の執行を猶予してもらうことの方がはるかに重要だった。執行猶予。恐らく、私がこの旅で臨んだものは、それだった。
引用:『深夜特急1 香港・マカオ』(p193)
出た!
執行猶予!モラトリアム!

この文字を目にしたとき嬉しくなりました
何かから逃れたい。でもいずれかは何かに挑まなければいけないことは分かっている。
でも、もう少しガキでいさせてくれよ。

マイアンサー No.1
快感のワンダーランド


私にとって大学の4年間はアンバランスな季節でした

アンタはどうでもいいわ
アータ
このような理由でシンガポールにまできた沢木氏は、からゆきさんたちや二葉亭四迷が眠る日本人墓地に行き、その場にいたシンガポールの高校生たちと仲良くなります。
日本に関する質問を受け、逆にシンガポールでみた胡散臭い男が持っていた写真の話を彼らにしていた沢木氏は、そうだ、シンガポールは香港ではなかったのだ、と気がつきます。
香港の熱狂を追っても、そこが香港でなければ本物以上のものを見出せるわけではない。香港とは別の楽しみ方が発見できてさえいれば、もっと刺激的な日々が過ごすことができたのかもしれない。
次はどこに行くんですか?高校生たちの問いに沢木氏は「カルカッタ、かな」と答えます。

デリーじゃないんかい!
香港の呪縛。これから逃れるには、中国の文化圏に属さないところへ行かなければ…

次回『深夜特急3』に続く!
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