StageⅣ ~ 締切と予定に縛られて
在りし日の叶井俊太郎氏です。
それは見事な伊達男っぷりです。
この動画は『シネマサロン 映画業界ヒットの裏側』(2023年12月31日アップ)。
対談されているのは、映画プロデューサーの酒匂暢彦氏。1984年、日本ビクターに入社。97年にクロックワークスを設立し、同社代表取締役に就任されています。
さすが600人斬った男はさ 生命力も凄いなって
いやそこ関係ないでしょ
引用:【対談】叶井俊太郎!末期癌ステージ4!?映画業界に想うこと・・・

かっこいいわアータ
【55秒書評】『エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論』はこちら。
映画の予告編最高ですよ

Who are you? ~どんな内容?
「ママ、さよならだね」
泣きじゃくる私をからかうように言いました。私が怒ると、夫は「ハンバーガー食べて帰ろう」と笑いました。
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P13 )
47冊目はこちら。『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(古書みつけ、2025年2月14日発売)です。
著者は倉田真由美氏。1971年福岡県生まれ。一橋大学商学部卒。『ヤングマガジン』ギャグ大賞で漫画家デビュー。代表作は『だめんず・うぉ~か~』『凶母(まがはは) 小金井首なし殺人事件 16年目の真相』他。
【55秒書評】『凶母 小金井首なし殺人事件 16年目の真相』はこちら。
冒頭の叶井俊太郎氏が「抗がん剤を使わなかった夫」、そしてそんな夫を支え、ともに歩まれたのが著者の倉田真由美氏です。
本書は余命半年を宣言された叶井俊太郎氏が、なぜ抗がん剤を使わない選択をされたのか、その時妻である倉田真由美氏はどう思われたのか、そして叶井氏の最期の日までご夫婦がどのように過ごされたのか、1年9か月間の記録です。
「私が治療法を真似した唯一の事例は、叶井さんのものだった。」
『がん闘病日記』の森永卓郎 推奨!
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(表紙帯)

『がん闘病日記』
近日55秒やります
2022年、5月上旬に腹痛を訴えられた叶井氏と倉田氏が、その10日ほど経った頃に総合病院のA病院を受診したところから「エンドロール」が流れ始めます。
診断結果は「胃炎」。
その後、同じく総合病院のB病院で血液検査を受け、国立C病院でのさらなる精密検査をすすめられます。その後、叶井氏から倉田氏へ18時頃LINEがくる。
「やっぱり胆管に何か詰まっていると。悪性腫瘍かポリープか。悪性腫瘍だと胆管がんかすい臓がん。明日から入院、胆管を通すための手術も明日するって」
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P10)
倉田氏曰く、はじめて「すい臓がん」という病名が出たのはこのとき。
胆管を通す手術は終了。しかし問題は胆管が詰まった原因。退院後1週間後に検査入院。
後日、検査結果の日。ご夫婦に医師は「細胞診の結果は、一番悪いクラス5、悪性のすい臓がんです。リンパ節に浸潤があり、この状態では手術でとることは難しいです」と告げた。この時点で「ステージは3寄りの2b」だったそうです。
「じゃあ俺、いつ死ぬんですか?」
「このまま何もしなければ、悪ければ半年、どんなに長くても1年です」
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P12)
叶井氏がお亡くなりになるのはこれから約1年9か月後。
昭和平成令和を生きた、稀代の映画プロデューサー。
冒頭のYoutubeでも…
酒匂氏「叶井俊太郎の意志を継ぐような人はいないよね」
叶井氏「いませんか?」
酒匂氏「いる?」
叶井氏「いない」
酒匂氏「いないよね」
引用:【対談】叶井俊太郎!末期癌ステージ4!?映画業界に想うこと・・・

自他ともに認める 比類なき映画人でいらっしゃいました
I like you! ~紹介する理由
叶井氏は早いうちから、「治療はしない、抗がん剤もやらないし、手術も目指さない」と決められたそうです。ただここで、倉田氏ががん治療について情報を収集するなかで、標準治療をしない人についての話が、ほとんどない、という壁に突き当たります。
ちなみにがんの治療には標準治療のほかに自由診療があります。自由診療とは、水素吸入や高濃度ビタミンC点滴など、公的医療保険が適応されない治療です。片や、標準治療については、森永卓郎氏が『がん闘病日記』で下記のように説明されています。
一方、標準治療の場合は、次の3つの優遇策がある。
①医療費の3割負担
②高額療養費制度
③医療費控除健康保険の加入者は、医療費の3割を自己負担すればよい。後期高齢者で所得の低い人の場合は、1割から2割の負担で済む。
たとえば、一般のサラリーマンの場合、3割負担だから、200万円の医療費がかかった場合でも、自己負担は60万円で済む。
引用:『がん闘病日記』(p65)
要するに、特別な治療法でもなく、一般にがんにり患した方が行う、保険適応範囲内の治療すら叶井氏は「しない」と宣言。支える側の倉田氏としては、抗がん剤を使わない患者がどのような経緯を辿るのか、事例がない状態だったわけです。
この本を書こうと思った動機のひとつは、それです。情報がない、そのために選択のひとつとして認識されない、されにくいこと。私にできるのは、発覚から一度も抗がん剤を使わなかった夫の生活を「一例」として知ってもらうことです。
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P3)
私がもし、がんと告知され、余命半年と宣告されたら…

間違いなくこの本を思い出すと思います
Love Letter ~そのとき叶井氏は…
本書はプロローグ、倉田氏のCOLUMNのほか、4つの章に分かれています。
各章の扉に倉田氏のポストが掲載されています。
すべて節目となるときに投稿された、倉田氏の声です。
一方、この頃叶井氏は何をポストされていたのか。そして家での様子を綴った本書では実際どのような状態だったのか。少し気になったので調べてみました。
2023/10/18
叶井氏のXです。
ヤフーエンタメ1位! 末期ガンネタは引きがある。。
引用:叶井俊太郎@shuntarokanai
Xではこのポストのほか「明日死んでもOK」…妻・倉田真由美は号泣、という東スポWEBの記事がネットニュースで1位であることに触れています。
一方、本書ではインタビューでくたびれた、疲れた様子の叶井氏を倉田氏がマッサージ。この夜…
「怖いよ」
夫がポツリと言いました。あまり聞かない言葉に、私は狼狽えました。
「何が怖いの?痛いこと?」
「痛いのもだけど、治らないこと」
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P120)
2023/11/7
叶井氏のXです。
今日は渋谷ロフトでトークショー やってきた。末期ガンステージ4の病人のトークは前代未聞でしょ。 しかし、新島時代の友人が控え室に来てくれたんだが、名乗ってくれなかったからマジ誰なのか気になる!
引用:叶井俊太郎@shuntarokanai
中央奥にポーズを決めた叶井氏のフォト。
一方、本書では「夜のトークイベント行きたくないなあ。何も話したくないし、人に会いたくないのよ」と倉田氏にこぼす叶井氏の様子が描かれています。しかし…
「客、100人くらい来て盛り上がったよ。疲れたけど」
そうなるんじゃないかなとは思っていましたが、案の定、充実した時間になったようです。いい疲れ方ができた日でした。
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P127~128)
2023/11/28
叶井氏のXです。
今日から胆管手術で入院。 4人部屋キツイので1泊17000円の 個室にしたら快適だわ
引用:叶井俊太郎@shuntarokanai
Xではベッド台にPCが置かれています。
一方、本書では手術が無事成功され、夜に叶井氏と倉田氏が「いま何してるの」「シュークリーム食べてる」という会話が。
「なんか、肉食いたい。焼肉とか食えそう。魚、刺身はもういい」
一気に元気になってきた様子です。
「ラーメンもいいな。退院したらココと食べに行こうかな」
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P140)
本書を読まれれば分かりますが、まるで叶井氏の胃袋と食欲は高校生みたいです!ちなみにココちゃんとはお二人の娘さんのお名前です。
2023/12/23
叶井氏のXです。
池袋シネマロサで『電エースカオス』の初日舞台挨拶!しかも197席が満席!多分、タブレット純人気とみた
引用:叶井俊太郎@shuntarokanai
一方、本書では「はじめての痛みだ」と腹痛を訴える叶井氏。
痛がる夫を見るのはとてもつらく、スイッチを切るようにその場面から逃げたくなることがあります。私自身の心の余裕、そのときの精神状態によるのかもしれません。
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P150)
ときに寄り添い、ときに支える側の苦しみが痛いほど伝わってきます。
叶井氏のXはこのあと2月9日に映画の告知をされて終わっています。
2月9日の様子ももちろん本書に描かれています。
そしてその数日後。
最期の日まで寄り添うお二人。

この本はまるで倉田氏が叶井氏に向けたラブレターみたいだなと感じました
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
「自分にとっての
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P207)
最善は何なのか?」
倉田氏は叶井氏から
このことを学ばれました。
そして私もお二人から
このことを学びました。
ありがとうございます。
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