I am a HENTAI ~恥ずかしいか青春は
そう、何を隠そうこのノートは変態日記なのである。
引用:「青春と変態」(p8)

変態ってどんな味だろう?
食べ物じゃないよ

笑いと感動と、そしてやっぱり涙の本格小説。絵描きが書いたからってナメてかかるとケガをする!ーー松蔭浩之
引用:「青春と変態」(表紙帯)

ケガしたくないよう
ナメちゃだめだよ

ちなみに2025年の青春はこれ。
The second book ~次に2冊目
私はここぞというときの、とっておきの2冊で勝負することにした(中略)。
「2冊目はこちら。これは名作というか、かなりの怪作だと思います。現代美術家の会田誠さんの『青春と変態』という小説です」
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p175₎
名作「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」の作中で、著者の花田菜々子氏が喫茶「へそまがり」のイベント(へそまがりの店主に本をプレゼンし、店主が一番読みたくなった本がグランプリ)に参加されるくだりで…
ちなみに「であすす」の55秒はこちらです。
そしてとっておきの1冊目はこちら!

ヒンドゥー教などでは神として扱われています
一方、観光地ではゾウ乗りが人気です!
少年「今日もいっぱい稼いでね!」
ゾウ「……」

おいゾウ!コゾウの分際でうるせえぞくらい言ってやれ!
上手いこと言ったみたいな顔するな

そして花田氏がおすすめされた、2冊目がこちら!

イベントでグランプリを獲得!すげー!
こちらは『観光』と違って読者を選ぶが、この場ではクリアしているだろう。
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p175₎
本当に変態で、冗談抜きで読む人を選ぶと思います。

この本は色々悩みました
Who are you? ~どんな内容?
44冊目はこちら。「青春と変態」(筑摩書房、2013年10月9日発売)です。
著者は会田誠氏。1965年、新潟県新潟市出身。東京藝術大学油画専攻卒業、同大学大学院修了。
「この本は……『会田さんの実話かも』と思わせるような仕掛けを施しながら、高校時代のスキー合宿のことが日記のようにノートに綴られていく形式で語られます。が、そこに書かれるのはどんなさわやかな恋愛も吹き飛ばすようなスカトロ嗜好というか、恋する相手の排泄する姿を覗き見たいという欲望なんです。私自身、そういう性的嗜好には興味がないどころか、そこで『うわ……気持ち悪いかも』と思って読むのをやめたくなったほどなのですが、なぜか明るさと面白さがあって、つい読み進めてしまったんです。(以下略)
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p176)
主人公の会田は県立北高校、通称北高のスキー部に所属する17歳男子高校生。
物語の舞台は1991年3月29日から4月1日まで、電車で一時間半くらい距離が離れている県立清和女子高校、通称清和との3泊4日の春合宿。
会田は、この春合宿の期間に限り、世にもおぞましい変態行為を記録するために日記を書く…というようなスタイルの一人称による小説です。
各段落の前に「1991年3月29日 AM10:50 三ツ村温泉スキー場に向かうバスの中で」などといったタイトルが付けられていますが、目次をみると…
青春と変態
あとがき
回想『青春と変態』松蔭浩之
のみ。
立派な小説、なわけです。

秘密を読者に告白する感じ

その秘密が変態なわけだ
お姉ちゃんのくせに
するどいな


で どんな味なんだろう?

中毒性があるんじゃない
ネー?
ナイスフォロー

この日記ですが、読み進めていくと特定の相手に向けて書かれていくようになり、最終的には…

はい ここまで

花田氏もおっしゃってましたが、『会田さんの実話かも』と思わせるような内容ですが、これに関しては著者である会田誠氏はこう述べられています。
だからと言ってこれが、私小説や告白小説と呼ばれることにはかなりの抵抗を感じます。結果的に本業にした美術もそうですが、僕は「わざわざ作品という人工物をイヤミったらしく作る」のが好きで、「心象のナチュラルな表出」といったものにあまり興味がありません。つまりは嘘。嘘だからこそなるべく本物っぽく、写実的にしようとするーーそういうシンプルな努力目標があることを好みます。いわゆる”創作秘話”に関して、あとは読者のご想像に任せたいと思います。
引用:「青春と変態」(p244)

ここです
この本の真骨頂は!
嘘だからなるべく本当っぽく。なるほど。
だから気持ち悪い、ノレない、読むに堪えない、という感想があったとしたら、そう思わせている時点で会田氏の勝ちなんです…
Give up? ~それでも読み続けますか?

ここで個人の感想です
恋する相手の排泄する姿を覗き見たいという欲望。花田氏同様、私も途中まで「無理かなこれは」と思い、なんでこの本を花田氏が推したのかと考えてしまいました。

店主が読みたく本を薦めるイベントだからじゃないアータ
それにしても結局その本が花田氏にとって「面白かったもの」でなければ紹介はされなかったわけで。実際「唯一無二のめちゃくちゃに面白い本」とおっしゃっておりますし…
この本を花田氏は面白いと思ったのか…この表現、この行為、うわあ…
おいさっきから失礼だぞ!

そんなこんなで読み進めているうちこのお二人の言葉を思い出しました。
まずは「知の巨人」ジャーナリスト、評論家、ノンフィクション作家の立花隆氏。
立花氏は著書「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」の中で、本を読むときに大事なのは、本全体の構造がどのようにできているか、その流れだけとりあえずつかむことが大事と書かれています。そして…
だいたい本の流れがわかったら、もう一度頭に戻る。ーーその段階で、その本がダメな本とわかったら(あるいは今の自分にはとても歯がたたないほどむずかしいとわかったり、あるいは、作者と自分は考えが全くあわないなどとわかったら)、頭に戻らずそれ以上その本を読むのをやめるのがよい。本を沢山読むために何より大切なのは、読む必要のない本の見きわめをなるべく早くつけて、読まないとなったら、その本は断固として読まないことである。
引用:「ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術」(p26)

途中で破り捨て燃やしちまうのか
言ってないだろそこまで

一方でまたまた登場、芦田愛菜氏。年間100冊以上も本を読む、読書家としてご自身の著書でこうおっしゃってます。
本はまんがや映画のように絵や映像をそのまま見せてくれるわけではないので、入り込むまで最初はちょっと読み進めにくいかもしれません。でも、決まったものだけを与えられるのではなく、自由に考える余地があるって楽しくないですか?本だったら、自分自身の想像力で物語の世界に出てくるすべての色も形も好きに決めてプロデュースできるんです。
引用:「まなの本棚」(p13)
自由に考える余地。流石です。でも…

愛菜ガールこれは想像しちゃダメなヤツよアータ
それな

I like you! ~紹介する理由
結論。
私、読了いたしました。
やはり花田氏が唯一無二とおっしゃっているんですもの。その根拠を知りたい。途中で止めたら、その根拠を知る機会を自ら放り出すということになる。
結果。
うわ、気持ち悪い。オレ、これ何を読まされているんだろう…と思っていましたが、
気が付いたら、せつない胸に風が吹いてた。
前半、めちゃくちゃ言っていた私がなぜ180度変節したか…
青春と変態というタイトルですが、前半から後半へ。変態を残しつつも青春へ大きくシフトチェンジ!お見事!おーい、座布団、そこに崩して積み上げてある分だけ敷いとけ!(読めばわかる)
青春は変態もすべてひっくるめて青春なんだ、青春は全てを包み込むガンジスのような存在なんだ!そう思いました。
この二人を並べるなもう

Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
白状すると、少し寄り道して会田誠氏のあとがきを先に読みました。そこに書いてあった言葉が私の心を揺さぶったのです!
今なら青春の残滓が少しはある、でもあと半年もしたら完全に消えて、青春は再現不能になってしまうーーそんな予感に突き動かされて書きました。
引用:「青春と変態」(p243)

この言葉を読んである本を思い出しました
それは55秒書評、28冊目で取り上げた「パーティーが終わって、中年が始まる」です!
この本は30代後半が人生のピークだったと実感している作者が、40代半ばとなり自身の「中年クライシス」を客観的にスケッチしている、という内容なのですが…
作者のPha氏と編集者の方がどういった本を書くか打ち合わせをされた際に、編集者の方がこうおっしゃったそうです。
「四十代初めの今ならまだみずみずしい喪失感を書けるんじゃないでしょうか」
引用:「パーティーが終わって、中年が始まる」(p177)
自分を振り返り、そういえばあの頃は私もたいして変わらず異性のことを考えていたような気がします。大人になり、社会に出て、性犯罪や性暴力のニュースを見て、性欲のまま動くなんて愚かだ、としたり顔でいて、それこそ気持ち悪いぞ自分。そんな風に思い直してみたりして。
そして改めて、この本を読ませていただきました。
主人公の会田みたいなこと、書かれているようなそれではないけど他の人が聞いたら、今の自分みたいに眉をしかめるような、そんなことで頭を満たしていた季節。
そうか、それが青春だったよな。
恥ずかしいな青春は。
緑黄色社会のみなさま すみません!

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