Chronostasis ~「スリーファイブオーエムエル」
映画「花束みたいな恋をした」で菅田将暉氏が演じる山音麦と、有村架純氏が演じる八谷絹がカラオケ店で歌うシーンです。
お互いの趣味が近い。同じ本を読み、同じ映画を見て、同じ音楽を聴いている。
何歌うの?もう入れている。どっかーん(訳:わかってるなあ、いい!)
エモい、エモすぎる。

この頃の麦くんは良かった
絹ちゃんかわいいなあ

“クロノスタシス”って知ってる?
引用:「クロノスタシス」きのこ帝国
知らないときみが言う
時計の針が止まって見える
現象のことだよ
ちなみにクロノスタシスとは、早い眼球運動の直後に目にしたものが制止する、一瞬、時がとまったような感覚を覚えることです。秒針が12を指しー。
あれ?動かない。止まった?
やがて、何事もなかったかのように、また秒針は時を刻みだす。
ちなみに。
この歌詞で出て来る缶ビールのことですが…

350mlを精神科のアルコール病棟では「サンゴ―缶」なんて呼びますが、佐藤千亜妃氏は「スリーファイブオーエムエル」と歌っています。このセンスよ。

柿の種を柿ピーって呼ぶようなもんか

なるほど アイからうろこ
流石だわ ネー!
恥ずかしいからやめてくれ

社会人は甘くない。サブカルチャーは何一つ変わらないのに、それが楽しめなくなっていく自分が嫌だ。生活するには仕事をしなければならない。そんなことは分かっている。でも時間がたりない。余裕がない。大人になるってなんだろう。
あの日、あの時、明大前駅で。二人が、すでに社会人だったら。

状況は変わっていたかもしれませんが…

「ラブストーリーは突然に」みたいな言葉の羅列ねアータ
学生から社会人へ。理想から現実へ。夏休みは長くて1週間で、年末年始はやがて寝るだけに。
仕事とスマホで毎日を終えたくないあなたへ
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」

なぜ仕事とスマホを見てしまうのか?
そんな疑問にも答えて下さいます!
社会に出ると、一週間があっという間。思うに多分、休日を励みに生きるから「変に能動的」に生きる。だから早い。あと、色々なことを経験しすぎて驚きが少ない。だいたい予想できるし、その通りに毎日が過ぎる。だから早い。
学生時代は授業が終わる時間まで長くて長くて…


毎日クロノスタシス発動

クロノスタシス?いや秒針から目を離した隙に10年経っているよ。
引用:tujitumaramuno x
自分のXを引用してるの?


ギャー気もちわりー

クロノスタシス言いたいだけでしょアータ
Who are you? ~どんな内容?
「全身全霊」を褒めるのを、やめませんか
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(p257)
42冊目はこちら。「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(集英社、2024年4月17日発売)です。
著者は三宅香帆氏。1994年1月12日生まれ。徳島県美馬市生まれ、3歳より高知県高知市で育つ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。専門は萬葉集。
本書は、第2回書店員が選ぶノンフィクション大賞2024受賞!さらに、2024年年間売上1位(日販・トーハン・オリコン・新書部門)。2025新書大賞受賞!

私も年末 腹を下して大変でした
受賞じゃなくて
重症だよそれは

目次はこちら。
まえがき 本が読めなかったから、会社をやめました
序章 労働と読書は両立しない?
第一章 労働を煽る自己啓発書の誕生ー明治時代
第二章 「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級ー大正時代
第三章 戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?ー昭和戦前・戦中
第四章 「ビジネスマン」に読まれたベストセラーー1950~60年代
第五章 司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマンー1970年代
第六章 女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー1980年代
第七章 行動と経済の時代への転換点ー1990年代
第八章 仕事がアイデンティティになる社会ー2000年代
第九章 読書は人生の「ノイズ」なのかー2010年代
最終章 「全身全霊」をやめませんか
あとがき 働きながら本を読むコツをお伝えします
「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」(中略)「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。(中略)
すべての本好き、趣味人に向けた渾身の作。
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」
著者の三宅氏は職業が文芸評論家でいらっしゃいます。子どものころから読書の虫で、本について勉強したくて文学部に進学されるくらい、本を読むことが好きな方なのですが、社会人1年目で…
ちくしょう、労働のせいで本が読めない!
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(p14)
どれほど忙しかったのかと思いきや…

正直、本を読む時間はあったのです。電車に乗っている時間や、夜寝る前の自由時間、私はSNSやYoutubeをぼうっと眺めていました。あるいは友達と飲み会で喋ったり、休日の朝に寝だめしたりする時間を、読書に充てたらいいのです。
だけど、それができなかった。本を開いても、目が自然と閉じてしまう。なんとなく手がスマホのSNSアプリを開いてしまう。夜はいつまでもYoutubeを眺めてしまう。
あんなに本が好きだったのに。
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(p16)
この本は、働いていると本が読めなくなる、という前提のもと書かれています。一方、この読書という言葉を他の趣味に置き換えて読むこともできます。
しかし。
あとがきに「働きながら本を読むコツをお伝えします」と書かれていたり、何よりも上記引用の「あんなに本が好きだったのに」とあるように…
かって本好きだった俺たちへ、的な本です。
あの歌みたいに言うな

この本は、本が好きだった三宅氏が、労働が原因で本を読まなくなった経験が起点となって書かれています。
日本人はなぜ本を読むようになったのか?という疑問から始まり、明治から大正、昭和、そして1970年代から2010年代の売れ筋から見る、その時代背景を紹介しながら、読書が私たち日本人にとって、どういう意味を成してきたのか、その意義に迫ります。
その時代のベストセラーの名前に「あったなこんな本」と懐かしんだり、その時代にベストセラーになった時代背景を読み「だからこの本が流行ったのか」と納得したり。

読書と各年代の世相がここまで密接に結びついているとは思いませんでした
この本は、序章で映画「花束みたいな恋をした」のあるシーンを紹介します。それは麦と絹がゴールデンカムイを読む、読めない(読まない、ではない)という会話なのですが…
「読めばいいじゃん、息抜きぐらいすればいいじゃん」「息抜きにならないんだよ、頭入んないんだよ。(スマホを示し)パズドラしかやる気しないの」
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(p24)
この会話がこの本の「世界観」を如実に表しています。花恋をまだ観ていない方のために、ここまで三宅氏が簡潔にまとめてくださっています。
この映画の主人公は、麦と絹という一組のカップルである。大学生のときに出会い、小説や漫画やゲームといった文化的趣味が合ったふたりは、すぐに恋人になる。しかし、同棲し就職するなかでふたりの心の距離は離れていく。とくに会社の仕事が忙しくなった麦は、それまで好きだった本や漫画を読まなくなる。そんな麦に、絹は失望を抱えるようになる。
引用:「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(p25)

ありのままの2人でいいよって
言っていたじゃないアータ
それは虹の歌詞


菅田将暉くんがなんで本を読まなくなったのかって本なのか!
いったん菅田将暉さん忘れてください

後編は各時代をダイジェストで駆け抜けます!
そしてなんとこの本にも「本を歩く」と同じ概念が…
後編はこちら!
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