The Bookshop Woman ~花田菜々子の人生は危機に瀕している。
はい。まずは本著の構成!
・プロローグ 2013年1月、どん底の夜0時
・第1章 東京がこんなマッドシティーだったとは
・第2章 私を育ててくれたヴィレッジヴァンガード、その愛
・第3章 出会い系サイトで人生が動き出す
・第4章 ここはどこかへ行く途中の人が集まる場所
・第5章 あなたの助言は床に落ちているホコリみたい
・第6章 私が逆ナンを身につけるまでーそしてラスボス戦へ
・第7章 人生初のイベントは祖父の屍を超えて
・エピローグ 季節はめぐる、終わりと始まり
・あとがき 2017年秋、本屋の店先で
・本書ですすめた本一覧
・この本を読んだ人にすすめたい本一覧
まず第1章で花田氏の活動に至る経緯に触れますが、この本の一つのポイントが第2章。ここが活動の礎となる思いを抱きます。
それが前編の 0th person ~70人に会う前に で触れられています。

この本の楽しみ方は3つ

1つずつ楽しみ 最後にバーンときます

ちゃん リン シャンか
ホップ ステップ ジャンプだろ

ちなみのこの「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」は翻訳され海外でも出版されています!
さりげなく、しかし鋭いユーモアのセンスで書かれた「The Bookshop Woman」は、書店員の自己発見についての心温まる本です。日本での書籍販売や、東京や東京の人々の風変わりな一面を垣間見ることができます。本は、再びインスピレーションを与え、人間のコミュニケーションのチャネルとして機能します。
引用:The Bookshop Woman by Nanako Hanada | Goodreads
このサイトを見ると、世界各国の読者の感想が面白い!

東京の人々の
風変わりな一面!

変態ばっかりってことね
アータ
東京を悪く言うのやめて

I like you! ~紹介する理由
この本を紹介する理由。それは私自身で実感した、この本の楽しみ方を皆さまにお伝えすること!

改めて3つの楽しみ方を
どうぞ!
花田氏のコミュ力
本をすすめることを「その人のいつかのためのお守り」を紹介する、その想いで活動されていた花田氏ですが、相手は出会い系を介して会う方々です。相手が最初から「私にもお守りになるような本を紹介してください」って来るわけではないし、それこそ全く別の目的で待ち合わせ場所に立っていることの方が多い。そんな花田氏が実際に会った方々とどのようなやりとりをしたのか。
まず、この本を読み始めて、早々に思ったのが…

コミュ力高っ!
花田氏、これ結構すごいことやってますよ。
そもそも「返報性のルール」というのが人間社会には存在します。これはいわゆる「ギブアンドテーク(give-and-take)」のことで人から何かをされたらお返しをする、というものです。もっというと…
返報性が、他者からの承諾を引き出す手段として、これほど効果的に使われる理由の一つは、その威力にあります。このルールには恐ろしいほどの力があり、相手に借りがあるという気持ちがなければまず断るような要求でさえ、受け入れてしまうのです。
引用:「影響力の武器[第三版(p43)

詳しくはこちらに載ってます!
自らの要求を相手に伝えるためには、一方通行ではだめなんです。相手が望むことを受け入れなければならないわけではないのですが、少なくともこの本のシチュエーションでは、相手が何を望んでいるのか聞かなければならない。
もちろん出会う前から花田氏は「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」とプロフィール欄に書かれてはいますが、純粋にそれを望んで来る人ばかりではないわけです。
手品やポエムを見せたい。これは花田氏の本を紹介したい、と一緒。返報性のルールでいえば「手品は拝見しました、だから本を紹介させていただけますか?」になる。
相手の魅力がわからなければ、本を紹介できない。だから相手を知ろうとする。花田氏が取った行動は、花田氏のためでもありましたが、そんな花田氏のすすめた本だからこそ「読んでみます」という回答が返って来る。
花田氏とマッドシティーの住人たちのやりとり。これがこの本の魅力、其の1、です!
「自分」探し
自分自身が「X」をしていて。もし花田氏と会っていたら、どんな本をすすめられるだろう。

つぎのお楽しみはここ!!

ここで花田氏が「X」で出会った方々を一部まとめます
太字は独断と偏見で、その人の特徴を強調するためのものです。
1.土屋さん🚹 広告業
穏やかで静かな雰囲気。背が高い。相槌うまい。色々話すが結局男女関係を望む。
2.コージさん🚹 ベンチャーでこどもにまつわる仕事
さわやか系の見た目に大きな声、体育会系テンション。途中で相手の名前を呼び捨て。既婚者だけど男女関係希望。
3.原田さん🚹 職業不詳
細身のタートルネック。相手の話を聞く前に手品を披露。その後写真と詩をただ見せてくる。自由。
4.大橋さん🚹 職業不詳 印象△
20代半ば。着慣れていないスーツに水色のリュック。メンタリズム。年収5千万と嘘をつく(見栄を張る?)
5.井田さん🚹 保険の営業マン 印象○
松井秀喜氏似。明るいムードと和やかなトーク。Xポリス(マルチ、宗教の勧誘などを退会させる。これもこの人の正義心、アイデンティティなのだろう)。
6.高島さん🚹 IT系
日本中を旅しながらスタバにMacのノーパソを持ち込み、IT系の仕事をする。話は弾み楽しい。

実は高田さんに本を紹介する際に ある出来事が発生します

そのため花田氏が再確認した<本をすすめるときの注意>が入ります

おしえてよそれ

それはお手に取ってお読みください!
7.さやかさん🚺 新卒の社会人
細くてかわいい。快活、気さくな性格。一方、バカすぎる恋愛話で下品にゲラゲラ笑い合う。
8.遠藤さん🚹 映像作家
小柄。少年のような風貌。自分のかわいさを自覚している人のしゃべり方(花田氏は好感を持った)。意気投合し朝まで遊び、その後も連絡を取り合っている。

気心知れた男友達ポジションだわアータ
9尚ちゃん🚺 フリーの写真家(準備中)
明るく、やさしく、聞き上手で、ポジティブシンキングで、努力家。

いったんここまで!
どうでしょうか。お話はまだ序盤。これからさらに個性豊かな方々が登場します!あ、何だかこの人、自分に似ているな、と思ったら、花田氏はそんな「仮想自分」にどんな本を紹介したのか。
これがこの本の魅力、其の2、です!
その本を読んでみる!
そして最後はこれ!「仮想自分」に出された本を読んでみる!え、ちなみに私は誰だったのか?ですって?

ヴィレッジヴァンガード時代の上司 吉田さんです
すごいブーイングが聞えるんですけど


これ自分でよく吉田さんいったわねアータ
ちなみにこの本は吉田氏が花田氏にすすめた本で…
その人のことは全然知らなかったが、吉田さんがそう言うなら何か特別な本かもしれない、そう思って読み始めると、本当に今まで読んだことがないくらいに面白くて、一気にハマった。
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p61)

この本55秒やります!
そのほか、普通に花田氏が紹介していて、面白そうだなと思った本を読んでみる。例えば喫茶「へそまがり」のイベント(へそまがりの店主に本をプレゼンし、店主が一番読みたくなった本がグランプリ)で花田氏が…
私がここぞというときの、とっておきの2冊で勝負することにした。
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p174)

それがこれとこれ!
55秒でどうぞ!

55秒でどうぞ!

ちなみに会田誠氏の「青春と変態」がグランプリでした!
どちらの本も知りませんでした。読んでみてほんとうにびっくり!めっちゃくちゃ面白かった!
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
最後に自分たちが住んでいたマンションをひとりで見に行った。大通りの向かい側から、自分たちが住んでいた7階の部屋を見上げる。新しい人が住んでいるようで、閉ざされた窓の向こうに、見覚えのないブルーのカーテンがかけられていた。
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p206)
コミュ力は抜群な花田氏ですが、この活動の発端となった夫との離婚話はスムーズには進みません。そしてこの夫とのやり取りが、ともすれば作り話じゃないのかな、とも思える「であすす」の世界において現実感を強く覚えさせるアクセントになっています。
紹介させていただいたフレーズを読んだとき、鳥肌がたちました。
前に進む、ということは、自分が住んでいた部屋に、知らない誰かがブルーのカーテンをかけることなんだ。
アンタが感傷的になってどうする


気持ち悪いわアータ
71th person ~71人目
ということは、いやまさかだけど、もしかして、いつか私のこの本も誰かから誰かにおすすめされたりする日が来るのだろうか。それって、無限ループ……じゃないけど、なんかすごいじゃん、循環してるじゃん。
でもそうなったらすごくうれしいと思う。
引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p126)
花田菜々子さん。
素敵な本をありがとうございました。
私は旅が好きです。東京が好きです。職業は精神科の医療機関で、患者さんと色々な話をすることが多くて…そして本が大好きです。
書店でこの本を手に取ったあの日。見えない力で、あなたにおすすめされたからだ、と今でも勝手に思ってます。
そして私はいま、この本をこのサイトを通じて皆さまにおすすめしています。
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