【55秒書評】「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(前半)

【55秒書評】「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(前半) 【55秒書評】
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0th person ~70人に会う前に

「とにかく自分が読んで面白かったから」というのはシンプルにして最強のおすすめ文句だし、雑誌や新聞で本をすすめること、もっと言えば店で本を並べて売ることだって、相手を特に限定せずに本をすすめていることだとも言える。

でも、そうじゃなくて……。

その人のことがわからないと本はすすめられないし、本のことを知らないとすすめられないし、さらに、その人に対して、この本はこういう本だからあなたに読んでほしいという理由なしではすすめられないんじゃないかとも思う。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p67)

40冊目はこちら!「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(河出書房新社、2020年2月5日発売)です!

著者は花田菜々子氏。1979年東京生まれ。書店員。「ヴィレッジヴァンガード」「二子玉川 蔦屋家電」「パン屋の本屋」などを経て、本著発行時点で「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」そして今は東京、高円寺の「蟹ブックス」店主。

かのん
かのん

タイトルの長さが90年代のJーPOP!

ラムノ
ラムノ

今回は特に「本を歩く」内容にしたいと思います!

今まで紹介してきた本の一節が再登場!さあ、恋する!本の歩き方に出発!

本を歩くとは?と思われた方は…

いきなりですが、この冒頭の個所。作者の方が、出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめようと思われた原点として書かれています。

実は花田氏はこの活動を始める前に「ヴィレッジヴァンガード」の上司、恩人だった吉田さんにおすすめの本を用意しプレゼンをします。手元に30冊、そして吉田さんは7冊の本を受け取った。

ただ、興奮の余韻はいつまでも頭から離れなかった。この面白さの正体を知りたかった。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p67)
ラムノ
ラムノ

この時の原体験がのちの活動に繋がっていくわけです

こういう、なにか湧きでてくる思い。例えば、第一志望の学校に行きたいとか、資格を取ろうとか、芸人になりたい、歌手になりたい、漫画家になりたいとか。

日常でも、ダイエットするぞとか、英会話やりたいとか、いい加減庭の手入れしなきゃな…とか。

そういう思いについて、岡本太郎はこんな風におっしゃっています。

早速ですが巨匠登場!

ココ
ココ

何をすればよいのか、それがわからない、と言うかもしれない。それが、ごく一般的なのだ。(中略)では、どうしたらいいのか。人に相談したって仕様がない。まず、どんなことでもいいからちょっとでも情熱を感じること。惹かれそうなことを無条件にやってみるしかない。情熱から生きがいがわき起こってくるんだ。情熱というものは、”何を”なんて条件つきで出てくるもんじゃない。無条件なんだ。

引用:「自分の中に毒を持て<新装版>」(P40)

この本のこの箇所を読み、私も自分の情熱に気が付きました。

情熱は湧きあがってくるもの。

かのん
かのん

情熱は灼熱だ!

まちがってるよ

ココ
ココ

皆さまの中でも、もし情熱を感じる何かに出会ったら。無条件に始めてみるのもいいかも知れません。

ラムノ
ラムノ

花田氏が覚えた思いこそ情熱だったわけです!

Who are you? ~どんな内容?

菜々子、33歳。職業、書店員。既婚、ただし家を飛び出し別居中。どん底人生まっしぐら。そんなある日、目についた出会い系サイト「X」に登録、初対面の人にぴったりの本をおすすめし始めて……これは修行か?冒険か?

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(裏表紙)
パズルを持つ人
バチッとかなんないよね…
ラムノ
ラムノ

このサイトのヒントになった恩人みたいな本です!

私が書籍ブログを始めようと思った時に、この本に出会いました。そうか、目の前にいる誰かに、この本面白いですよ、と勧める形。このスタイルで行こう。

相違点があるとすれば、ブログにお越しいただく皆様を理解できない中で、本を書評する。

キャロ
キャロ

そっちの方が楽ねアータ

まあそうですけれど

ココ
ココ

冒頭の情熱に突き動かされ、花田氏の冒険が始まる!

キャロ
キャロ

要は「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」が書いてある本ってことねアータ

終わっちゃうだろそれじゃ

ココ
ココ

2013年、花田氏は夫と別居し、一人暮らしをし生活を立て直そうと決意されます。一方で、今まで休日は夫と二人で過ごされてきたので、空いている時間は何をしていいのかも思いつかなかったそうです。趣味は読書や本屋めぐりぐらい。休日のたびに過ごしてくれるご友人もいない。

狭い人生……。
もっと知らない世界を知りたい。
広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p15)

職場から近い横浜駅から徒歩10分のところにマンションを借りた花田氏は、程なくして「X」という奇妙な出会い系サイトの存在を知ることになります。

かのん
かのん

Xったら旧Twitterじゃないの?

いやこれ、XTALKSのことかな、と思いますが…

ちなみに作中で、出会い方法はこんな感じで書かれています。

  • 「○月○日○時 ○駅付近」と設定 掲示板方式で登録
  • 会いたい人は「申請」申し込み
  • 複数の申請があれば選ぶ いなければ断る

→自分が登録して誰かを待つか、誰かの登録に申請し選ばれるか

とにかく花田氏はこの出会い系サイトに、

「変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大なデータの中から、今のあなたにぴったりな本を1冊選んでおすすめさせていただきます」

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p15)
キャロ
キャロ

出会い系で知らない人と会うってだけで怖いわアータ

人に本を紹介したいという情熱ですよそこは

ラムノ
ラムノ

記念すべきお一人目は、想像していたよりも穏やかで静かな雰囲気の、でも結局なんとかして男女の関係を持とうとする土屋さん。お二人目は、さわやか系の見た目に、大きな声と体育会系のテンションの高さを併せ持つ、「次会うときはお互いをよく知れたらいいよな(既婚)」と返信してきたコージさん。

なるほど、なるほど……。そういう感じか。うん。なるほど。(中略)けれど結局は、女とセックスできるかもしれないという価値だけが一人歩きしているに過ぎなかったのだ。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p34)
ラムノ
ラムノ

出会い系サイトを利用したことがありませんが…

当サイト55秒、33冊目にご登場いただいたこだま氏も、

「あとひとつ忠告しようと思って。君が日記かわりに使ってるサイト、あれ自体が出会い系のやつだから、寄ってくる男はみんな出会い目的だよ」

引用:「夫のちんぽが入らない」(P136)

荒間草介(あらまそうかい、と読むらしい)という、くそじじいに忠告されておりました。

かのん
かのん

私たちにはドッグランという出会い系広場があります

あそこは走るのが目的だろ

ココ
ココ
走る二匹の犬
2位じゃダメなんでしょうか?

しかし花田氏はここで止める選択はしませんでした。それから数人続けて会って、

しかし、それにしても、とりあえずセックスって言ってみるやつ。とりあえず結婚しているけど俺は問題ないって言ってくるやつ。とりあえず時間いっぱい手品とポエムの発表するやつ。とりあえず年収5千万と突飛な嘘をつくやつ。(中略)けれど、5千万とふたり、渋谷駅に向かって歩く雑踏はいつもより力強く輝いていた。

だって無機質で居心地が悪いとしか思ってなかった街は、少し扉を開けたらこんなにもおもしろマッドシティーだったのだ。なんて自由なんだろう。やりたいようにやればいいんだ。こっちだってやってやるよ。やりたいように好き勝手に本の紹介をしてやるよ。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p34)

この気持ちの源が、冒頭「0th person ~70人に会う前に」で紹介させていただいた言葉です。

つまり花田氏はヨシタケシンスケ氏がおっしゃる…

幸せとは、するべきことがハッキリすること

ていうか、結局、決めたことをやったらやったで、うまくいかなかったりもするんだけれども、こうすればいいんじゃないかなって、自分の中である程度方向が、それこそ覚悟が決まった瞬間が一番、幸せって言われるものに近い心理状態なんじゃないかなって思ったんです。

引用:「思わず考えちゃう」(P99~100)
キャロ
キャロ

要は思考停止じゃないアータ

性根が曲がり過ぎてるぞ

ココ
ココ

これをやろう、と迷いが無くなったとき。それは、迷うという行動を起こすそれらのパワーも、すべて、これをやろうに注ぎ込めるときなのだと思います。そしてそれが幸せというものなのだ。そうヨシタケ氏はおっしゃっています。

かのん
かのん

幸せって何だっけ?

ラムノ
ラムノ

ぽん酢しょうゆのある家さ

キャロ
キャロ

カズカズの宝話じゃない
アータ

古いんだよ

ココ
ココ

やがて花田氏は以前より立ち入っていた場所で喫茶「へそまがり」の店主と出会います。そして今度店でイベントをやろうと思っている、そこで「店主が好きそうな本をイベントにきた人がすすめる。そして誰がすすめた本がいちばん店主が読みたくなったか」という店主のためのイベントに呼ばれます。

プレゼンターは花田氏を含めて4名。

その後花田氏がすすめた本が見事グランプリを獲得!

本の題名は後編で!

ココ
ココ

その後今度は花田氏が、今日みたいにお客さんを呼んで一人ひとりにプレゼンをする、というイベントを発案します。

このイベントで花田氏は、自身の自己紹介に加え、紹介した本がその人の役に立ってほしかった、と述べられています。そこで編み出したのが…

「あなたが素敵」+「この本素敵」=「素敵なあなただから素敵なこの本がおすすめです」作戦だった。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p195)
ラムノ
ラムノ

これのテンプレート

「お話を聞いて、○○さんは仕事を通じて他人を幸せにしようとしている人、部下やお客さんのために心から考え抜き、ベストを尽くして走り続けている人なのだと感じました。そんな○○さんにおすすめしたいのが○○○○という本で、この本はきっと○○さんが仕事に悩んだり、つらいなと感じたときにかならず寄り添って支えてくれると思います」

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p196)

最終的に花田氏がたどり着いた境地、と思われる箇所がこちら。

このドレスを自分が着ることがなくても、そうやって誰かが「あなたはこのドレスが似合うような素敵な人だよ」と言ってくれたら、そのドレスはガラスの向こう側に存在しただけで私に価値をもたらしてくれる。同じことを本でやればいいのだと思った。

引用:「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」(p195)

結局このイベントで計15名のお客さんに本を紹介し、花田氏はもう十分にやりきった、と書かれています。

本をすすめる、という行為が、相手を思い、相手の魅力を伝え、本でつなぐという行為になった。そしてそこを花田氏が目指し、ある種イベントで達成感を得た。

ラムノ
ラムノ

この本はある一人の女性の成長記でもあるのです!

キャロ
キャロ

一体何様なのアータ

後半はこの本を紹介する理由、そして揺さぶるフレーズ!

この本の楽しみ方をお教えいたします!

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