前編はこちらです!

さあ後編スタートです!
大人になった貴族?
「マズイ……成人はまずいぞ‼」
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p158)
成人というワードが僕の心に刺さった。同級生がみんな大人になるのに何してんの?これはマズイと。
実は山田氏は高校受験をするという、アドラー心理学まとめの 6でいうライフスタイルを選び直す行動に出ているが、受験に失敗(または試験を受けず逃げて)引きこもりを継続させます。

実はここあたりが…
アドラー心理学まとめの 7の変わらないのは「変わらない」と決心を下している。つまり山田氏自身が引きこもりという生き方を選んでいる、という考えになりますが、確かにこの部分に関して、山田氏が何回かご自身に言い聞かせる場面があります。それが…
そこで僕の中に、「神童感」が生まれる。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p68)
自分は何でもできる、特別な人間だ。選ばれし人間だ。
山田氏はご自身が過ごした小さな町で「中学受験に合格した子」として、有名になります。この成功体験が何時しか心の糧となり、根拠のない自信になり、最終的にはライフスタイルを変えない言い訳になるわけです。
- このままではいけない
- 変わるのが面倒
- まだ取り返せる 神童だから
ちなみに山田氏は自宅で引きこもりをした後に、実家から少し離れた隣町で一人暮らしをし、さらに瀬戸内海のとある小島でも引きこもりを継続。
そんなある日、山田氏はついにアドラー心理学まとめの 9でいうライフスタイルをやめるという決心を抱くことになります。
それが先程引用した、成人式のくだりです。
同級生が射程圏外に羽ばたいて行ってしまう……そんな焦りを感じた。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p158)
- このままではいけない
- 変わるのが面倒
- まだ取り返せる 神童だから
- 成人→学力マウントが通用しなくなる → New!

ここはシンプルだけど面白いところで…
アドラー心理学ではライフスタイルを変えるためには勇気が必要だ、と説いています。正直、読んで間もなくの頃、この勇気という言葉に、海外の文章を「文学的な日本語」に無理やり置き換えたような違和感を覚えました。
勇気、で閉塞した状況を打破できるか。打破しないのは変わらないことを決心しているからか。
いや違う。
ライフスタイルを変える。それはまず「きっかけ」があり、初めて変わるかどうか勇気が試される。
アドラー心理学には「きっかけ」についてほぼ触れられていません。個人的には、引きこもりにせよ、転職にせよ、その環境を変えるためには勇気を奮い起こす、なにかの「きっかけ」がないと難しいのではないか。つまり「勇気」を構成する要素に、この「きっかけ」の存在は確実にあると思っています。

ここが ひとつ腑に落ちないところ でしたが…
詳しくはこちら!
それを確信したのが「ヒキコモリ漂流記【完全版】」です!この本のおかげで、アドラー心理学をより深く理解できるようになりました!

実際ご本人がこの「きっかけ」についてお話されています
人生の宿題がたまり過ぎて、さすがにもう取り返しがつかなくなるんじゃないかという恐怖。結局、原始人と同じ人類の発展につきものの、「恐怖」によってやっと僕は動きだす。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p158)


いまのライフスタイルを変えないとだめよアータ
誰に言ってんのそれ

I like you! ~紹介する理由
引きこもりからの脱出、下積みから脱却、そして栄光の一発屋芸人へ。
この本が魅力的なところは、そのドラマチックな展開の傍らで語られるエピソードの面白さ!
面白エピソード① 父の一張羅
「玉虫や!玉虫のおっさんや!」
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p50)
お父様の一張羅のスーツが、少し光沢のある素材で、見たことのない緑色で、このお父様がこれを「ここぞ!」という時に着る。で、ご本人は恰好良いと思われている。
上記のセリフは授業参観日にこのスーツを着たお父様を見て、同級生が放った一言!
面白エピソード② 「神の視線」
以来、その望遠鏡は二度と空を見上げることはなかった。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p134)
引きこもりの最中、山田氏は自室窓から、近所で顔見知りの人間や、小学校時代に仲が良かった友達などを「観察」。やがて、その好奇心から小学校5年生の時に買って貰った「天体望遠鏡」に手を伸ばすことになるが…。
面白エピソード③ 家庭教師
5×7=42 7×8=64
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p180)
6年間の引きこもりから晴れて愛媛大学に合格した山田氏。松山では「賢い学校の子」として認知されている愛大生として家庭教師のアルバイトを始めるが、教えることになった生徒の答案を斜めに眺めていたら…
ここはこの生徒と山田氏のやりとりがまたいいんですよね。いきなり勉強から入らず、雑談から入るというところ。兄貴風を吹かせる引きこもり脱出直後の山田氏。笑える。
ここあたりの文才はこの本でも味わえます。
ちなみに前編頭に貼らせて頂きました、千原ジュニア氏のYouTubeで山田氏が漏らしていたひぐち君の愚痴。この本でさらりと書かれています。

それよりジュニア氏の話を広げようとする引き出し方がすごい!
ひぐち君を「あえて擁護するスタンス」で話を展開させていこうとするジュニア氏に、リアルに納得いっていない山田氏の言い分。

私は正直ひぐち君 ワイン関係は山田氏のおかげだよと言いたい!
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
「いや、あの6年は完全に無駄でしたねー……」
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p259)
引きこもりの経験を含め、いくつか取材を受けるたびに、場を締めくくる際の質問がある。それが「でも、その6年間があったから、今の山田さんがあるんですよね?」というもの。
しかし山田氏は「此方もタレント」「一発屋と言え、芸能人の端くれ」とご認識されながら、あの時の経験が役に取っているとは言えない、思ってもいないことを口にするのは目覚めが悪いと書かれています。
そんな”無駄を許せない空気感”こそが、人々を追い詰めているのではないだろうか。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p261)
無駄や失敗に塗れた日々を過ごす人間も少なくない。
引用:「ヒキコモリ漂流記【完全版】」(p261~262)
そんな人間が、ただ生きていても、責められることがない社会……それこそが正常だと僕は思うのだ。
聞き手が求めることを答えず、愚直に意見を述べる。そこには「ヒキコモリ」を経て一つの真理に辿りついた、芸人である前に一人の人間としての告白がここにある。

だからジュニア氏に帰れ!って言われちゃうんじゃないアータ
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