【55秒書評】「地面師たち ファイナルベッツ」

【55秒書評】

Who are you? ~どんな内容?

14冊目は「地面師たち ファイナルベッツ」(集英社、2024年7月26日発売)でございます。

著者は新庄耕しんじょう こう氏。1983年、京都府生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。2012年、第36回すばる文学賞を受賞された『狭小邸宅』にてデビューされます。前作『地面師たち』は『小説すばる』2019年1月号から10月号に連載され、同年12月に集英社から刊行されました。2022年1月に文庫化、2024年7月25日にはドラマとして配信がスタート。

地面師とは、土地の所有者になりすまして、不動産会社等に売却を持ちかけ、売買契約、決済、その後所有権の移転等の末、多額の代金をだまし取る詐欺を行う者を指します。

前作の【55秒書評】『地面師たち』はこちら!

そして続編『地面師たち ファイナル・ベッツ』!前作から2年後の設定となります。

地面師たちの新たな標的は釧路川河口にある東京ドームが二つ以上入る広大な土地です。ポイントは「北極海航路」。この航路が本格的に活用されることになるとカムチャツカ半島のペプトパブロフスクと釧路がハブ港となり、将来性や希少性を考慮すれば、潜在的な価値は計り知れない!

物語の視点は、元Jリーガーでギャンブルに魅せられ全財産を失った稲田と警視庁捜査二課に所属する刑事佐藤サクラ、シンガポールでも屈指のWSDグループ御曹司ケビンの三者間で切り替わります。前作を読了されている方であれば、騙す側、追う側、騙される側で切り替わるのだな、と理解されるはず。

稲田が主たる視点。ギャンブル好き、いや依存症なので(言い切っちゃいます)、成功報酬と言う名の鎖でハリソン山中と繋がります。決して絆ではありません。個人的にはギャンブルに全く興味が無いので、魂が消し飛ぶほどのスリル、に共感出来ませんでした。

佐藤サクラは、前作のたつよりキャラが立っているように感じました。捜査二課に配属された経緯や父親への愛憎の念が丁寧に描かれています。そしてハリソン山中への執着。ここには前作のキャラたちが色濃く関係してきます。サクラ、誰が演じるんだろう(間違いなく映像化されますんで)。

サクラのパートは読者サービス感があります!

ココ
ココ

ケビンは前作の青柳同様、騙される潜在的動力が序盤から詳らかになります。ただ稲田の「一攫千金欲」とは違い「最上級の承認欲求」。これが騙させる土壌となります。

ともすれば稲田もケビンも、金で買えない何かを求めている。そこにハリソン山中がつけこむ。ではハリソン山中は何を求めているのか。

かのん
かのん

一言、ハリソンは変態ですから!

最終的にこの土地は210億で決済されます!その一部始終を是非!

勧善懲悪の180度反対側。ハリソン山中の無双っぷりがすごい。

I like you! ~紹介する理由

前回に引き続き、新庄耕氏の土地狂ってる筆力!

太平洋からオホーツク海に向かって北東方向にルートを取る、大型クルーズ船。今回の決済の舞台。

ラムノ
ラムノ

電車で読んじゃダメなヤツですww

私、仕事帰りの電車の中で読んでいたのですが、本、閉じました。新庄氏、コメディもいける!

なりすまし役の金本がとにかく最高なんです!

「ビートルズのビート感……」

引用:「地面師たち ファイナルベッツ」(単行本 P306~)

天才。めちゃくちゃ笑った!そのほか、まだまだあります、笑いの爆弾!

Ardbeg(アードベック)美味しいですよ!うちにあります、これ。

Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ

不一不二ふいつふじ

引用:「地面師たち ファイナルベッツ」(単行本 P91~)

二元論をいましめる意味。AかBかではなく、AでありBでもある。AかBではなく、AでもなくBでもない。でもこの物語はいつもAかB、なんですよね。生と死、勝者と敗者、善と悪。

ハリソン山中か、それ以外か。

キャロ
キャロ

やめなさい、怒られるわよアータ

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