【55秒書評】「凶母 小金井首なし殺人事件 16年目の真相」

【55秒書評】

Who are you? ~どんな内容?

7冊目は「凶母まがはは 小金井首なし殺人事件 16年目の真相」(サイゾー、2023年7月31日発売)でございます。

著者は倉田真由美氏。1971年、福岡県出身。一橋大学卒業後『ヤングマガジン』ギャグ大賞受賞。2000年に週刊誌『SPA!』にて連載した『だめんず・うぉ~か~』で世に知られることとなります!28歳で結婚、第一子である男児を出産されますが、2年後に離婚。そして2009年9月に名物映画宣伝プロデューサーの叶井俊太郎氏とご結婚されています。

叶井俊太郎氏の【55秒で書評】「エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論」はこちら!

凶母まがはは 小金井首なし殺人事件 16年目の真相」は本編終了後に、倉田氏のスペシャルインタビューが掲載されています。本編を見た後に見る、このインタビューが面白い!夫、叶井氏とミステリーやサスペンスの趣味がめちゃくちゃ合うこと、叶井氏から勧められた作品がたいがい面白いこと、そういった中で知った作品が「自分ひとりだったらたどり着けていない」ことなど、本作が叶井氏のエッセンスも入っていることが伺い知れます。

また、倉田氏が合理的な理由を考える一方で、「意味のわからない気持ちが悪い話も好き」「ちょっとモヤッする不気味な感じが好き」と述べられているところも、至る所に反映されています。これは読まれてからのお楽しみ!

想像するのが楽しいんですよね~

ココ
ココ

しかもこの本の真骨頂、いや倉田氏のサービス精神の極みは、423ページから始まる「書き下ろし漫画」です。見終わるとモヤッとします。決してスカッとはしません。

この本はギャグ漫画家の印象が強い倉田真由美氏が描かれた、本格ミステリ―漫画です。本題にありますように、首なし殺人事件の描写がありますが、親しみやすい絵だからこそ怖いです。事件の真相に迫っていくストーリーなのですが、どこかドキュメンタリーにも近い感覚です。

かのん
かのん

要所要所、クスッてくるとこ

あります

世の中のミステリー作家が嫉妬するだろうな、と思いました。作家は文字だけ、ですが漫画家は文字のみでなく、何と言っても絵があります。巻末のインタビューによると、倉田氏はミステリーをこれからも描かれていく、とのこと。楽しみ!

ラムノ
ラムノ

凶母の隣に早く次回作を並べたい!

I like you! ~紹介する理由

ミステリーって答え合わせの文学なのですが、そもそもその答え、トリックや犯行動機が100点のものもあれば、正直50点のものもありますよね。

でもこの本はトリックはもちろん、「なぜ、主人公は犯行に至ったのか」まで丁寧に描き切っています。

で、結果。共感出来ないんです、その動機に。何故ならば、すごすぎて背景が。そこがまた好き。

犯人も正直読み進めていくまで分かりませんでした。良く練られている。漫画なのでキャラクターの動きで少し翻弄される。ここが漫画ミステリーの最大の長点かも知れません。私が鈍いだけかも知れませんが…。

読みはじめの時は、ニセ霊能者の東郷高峰にだめんず臭を感じましたが、実はこの東郷が優秀!なんて言ったって彼は、日本屈指の催眠術師なんです!(え、混乱する?)

天才・倉田真由美氏の新たなフェーズ。歴史的資料として是非お手元に!

Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ

首を切ることに合理的な理由が欲しかったんです

引用:「凶母 小金井首なし殺人事件 16年目の真相」(p418~)

犯人の声ではありません。
倉田真由美氏の声です…

キャロ
キャロ

最高とサイコは紙一重ねアータ

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