【55秒書評】「エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論」

【55秒書評】

Who are you? ~どんな内容?

5冊目は「エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論」(サイゾー、2023年10月30日発売)でございます。

著者は叶井俊太郎氏。「くらたま」倉田真由美氏のパートナーです。

1967年9月18日、東京都生まれ。東京都立園芸高校卒。その後放送関連の専門学校(ラジオ放送科)を経てハワイに留学され、1990年ラジオ局に入社。業務の中で映画配給社の存在を知り、その後映画業界に転職されます。映画配給とは、製作者から上映権利を獲得する「買い付け」試写会の企画実施、メディアへのPRを行う「宣伝」などがお仕事になります。

ここから叶井俊太郎氏の伝説が始まります!

転職先が天職になる(ご本人はどう思われていたか分かりませんが…)
世の中に理想ってたくさんありますが、理想ランキングの上位3位に入りますよねこれ。

どこいっても嫌な奴はいますからね

ココ
ココ

叶井氏と言えば何と言っても「アメリ」(2001年公開)。主演のオドレイ(オドレ)・トトゥが濃緑の背景に微笑むあの写真は、ヨハネス・フェルメールの「真珠の首飾りの少女」と双璧をなすインパクトだと思います(超個人的見解)。

ですが。そんな叶井俊太郎氏に、2022年、医師はこう宣告したそうです。

膵臓がんステージ3寄りの2bで余命半年、楽観的にみて持って1年

引用:「エンドロール!」(p7~)

で、叶井氏の答えがこれです。

抗がん剤で毛が抜けるのも、めちゃくちゃ痩せるのも嫌だから、やらない。

引用:「エンドロール!」(p272~)

副題は「末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論」。

「命の対談集」。そのお相手の方々はこちら。

鈴木敏夫氏、奥山和由氏、Kダブシャイン氏、ロッキン・ジェリービーン氏、樋口毅宏氏、柳下毅一郎氏、宇川直宏氏、中原昌也氏、江戸木 純氏、河崎 実氏、清水 崇氏、豊島圭介氏、中瀬ゆかり氏、岩井志摩子氏、中村うさぎ氏。

そして、あとがきは倉田真由美氏。

ラムノ
ラムノ

この15名の皆様もまた、異人いや
偉人揃い!

皆様が対談前扉ページに「自分が余命半年と告げられたら…」という質問に答えています。個人的に中村うさぎ氏の答えが良かったです。

I like you! ~紹介する理由

この本の、はじめに、に書かれていますが、約30年間の映画の仕事で大ヒットしたのは「アメリ」くらい、だそうです。そんな叶井氏の仕事へのスタンスが分かる箇所がp88、ロッキン・ジェリービーン氏との対談で見受けられます。

ロッキン・ジェリービーン氏が「叶井くんが手掛ける映画っていわゆるB級がほとんどじゃん?」と問い掛けます。この問いに対し叶井氏は「Z級だよ」と返されます。そして…

つまらない映画をいかに面白く見せるかを考えるのが楽しいんだよ

引用:「エンドロール!」(p88~)

面白いから見てよ、じゃなくて、この映画本当につまらないんだよ、でも面白そうに見えるでしょ、という感じ。つまらない、が面白い。実際、この対談でも「あーそれならつまらなければつまらないほどいいね」とロッキン・ジェリービーン氏に言われております。

こういった仕事を約30年間続け、4回ご結婚されて、「死ぬのに未練はない」と言い切って。

そんな叶井俊太郎氏の感性、価値観、世界観をとことん味わえます!

キャロ
キャロ

写真みても色気あるわねアータ

倉田真由美氏のあとがき、ジーンときました。

Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ

「予告編だけ超面白そう」とか言われたら、オレの仕事としては完璧ね。

引用:「エンドロール!」(P70~)
かのん
かのん

匂いは美味しそう、はいやだな

叶井俊太郎氏は2024年2月16日にご自宅でお亡くなりになりました。末筆ながら、故人様のご冥福をお祈りいたします。

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