the whereabouts of「?」 ~あの名作の系譜としても
タウマゼイン?
あぁ。
それは古代の哲学者曰く、知的探求の原始にある驚異。
簡単に言い換えると、この世の美しさに痺れる肉体のこと。そして、それに近付きたいと願う精神のこと。つまりーー
「?」と、感じること。
引用:『チ。ー地球の運動についてー』(p164)

ラファウ、フベルト、オクジー、バデーニ、ヨレンタ…
もしかして、地球が廻っているのではないか?
時は15世紀。
タウマゼインを感じても、タウマゼインを追うことを禁じられた時代を生きた人たち。
でもその後。「?」は確かに後世に生きる人々にも受け継がれ…
ある日「?」と、感じたある青年は「?」を追い、やがて青年の知的探求の果てに、ある一人の天文学者によって人類は遂に「地動説」を手に入れます。
その天文学者の名はニコラウス・コペルニクス。ポーランド出身。

そして地動説!

物語はそんな偉大な天文学者の名前があだ名になった少年が主人公です。
Who are you? ~どんな内容?
64冊目は『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス、2017年8月24日)でございます。
原作は吉野源三郎氏。1899年4月9日生まれ。1981年5月23日没。編集者、児童文学者など。岩波少年文庫の創設にも尽くした。
漫画は羽賀翔一氏。1986年生まれ。学習院大学卒。2010年に『モーニング』第27回MANGA OPENにて奨励賞を受賞。『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』の挿絵担当。
自分の生き方を決定できるのは、自分だけだ。人間としてあるべき姿を求め続ける、コペル君と叔父さん。永遠の名作が、80年の時を経て、ついに漫画化!
引用:『君たちはどう生きるか』(表紙右裏)
時代はめぐり、1937年、東京の街。盧溝橋事件が発生し日中戦争が始まる年。
物語は父親を亡くした少年、本田潤一と、勤めていた出版社が潰れて無職になった元編集者の叔父さんが、少年の周辺で起きる出来事を通じて「立派な人間になるように」、心を通わせながらともに考えていくストーリーです。

物語の核は少年に向けて書いた叔父さんのノート
表紙が潤一少年。まあ、この少年が主人公で間違いない。
しかし、この叔父さん。この叔父さんも人知れぬ葛藤、そして後悔を胸に秘めた人物だった。そして叔父さんもまた少年の成長を目の当たりにしながら「自分がやること」を見つけ奔走する。
そう、この物語は少年だけでなく叔父さんもまた「君たちはどう生きるか」という問いに惑い、悩みそれぞれが答えを求め生きていく姿を描いています。
絶対に逃げずにみんなで戦う……
約束だ……!
引用:『君たちはどう生きるか』(p202)
そしてこの叔父さんが、あるできごとをきっかけに潤一少年をコペルニクスからヒントを得て「コペル君」と呼ぶようになり、このあだ名はやがて潤一少年が通う小学校でも広まっていきます。
今日君が感じたこと、今日君が考えた考え方は、どうして、なかなか深い意味を持っているのだ。
それは、天動説から地動説に変ったようなものだから。
引用:『君たちはどう生きるか』(p202)

コペル君もこのあだ名を気に入っています
物語は叔父さんが無職となり、コペル君の家の近くに引越しをしてきたあたりから始まります。
そして雪の日の出来事ーー。

これ 自分ならどうだったか本当に考えさせられます
コペル君は、そして叔父さんはどう生きるのか!

さあこのまま家に帰るのか それともあと半周あるくのか?
散歩の話だろそれは

I like you! ~紹介する理由
物語は上述したように、コペル君の身の回りで起きたことを中心に進んでいきますが、その随所随所に叔父さんがコペル君にあてたノートが登場します。
ここではノートを見開きにして、コペル君が叔父さんが書いた文章を読む、というスタイルをとっていますが、恐らくこれは、制作サイドが原作者が伝えたいことをストレートに読者に届けるためにとった表現方法と考えてのものでしょう。
活字好きとしては、お、ここあたりで叔父さんがきそうだなと思いながら読んでました。

読み応えあり!
ふつうに小説版読んでみたくなりました。
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
本を書く人間が見つからないなら 自分で書けばいいだけのことなんだ
引用:『君たちはどう生きるか』(p202~203)
ここ好きだな。あるキャラクターが人生のコンパスを掲げた瞬間です。
君たちはどう生きるか。出番が少ないキャラクターたちもしっかりこのテーマに向き合って生きています。
個人的は1937年以降に始まる、激動の昭和を彼らがどう生き抜いたのか興味があります。コペル君、叔父さん、お母さん、ガッチン、浦川君、水谷君。山口君も。

野暮だわ

へえっ?

こと生き方に関して言えば大切なのは過程よアータ
どこの大先生だお前は

コメント