この記事 こんな思いで書いています
この書評は、本の内容を整理するだけでなく、
中年期に感じる行き詰まりをどう越えるか
という視点で書いています。
※本の要点を先に知りたい方は、途中の見出しから読めます。
※ここからは、個人的な実感や迷いも含めて書いています。
Help me! ~いやあ、しんどいなあ
今回のお悩み:
「仕事で帰りが遅くて、平日は夕食を一緒になんて無理なんですけど…こどもたちに悪影響とかありますかね?」
それって普通なの?
Who are you? ~どんな内容?
107冊目はこちら!『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(文藝春秋、2018年12月20日)でございます。
「著者」は樹木希林氏。1943年1月15日、東京都千代田区生まれ。本名は内田啓子。千代田女学園高校在学中に演劇部で活動。大学受験前に骨折し進学を断念。1961年、文学座付属演劇研究所に入所し俳優活動を開始。旧芸名は悠木千帆。テレビドラマ『七人の孫』『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』などで人気を得た。1977年に芸名を樹木希林へ改名。映画『歩いても 歩いても』などで高い評価を受け、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2018年9月15日、75歳で死去。夫は内田裕也氏、娘は内田也哉子氏。
実はこの本は前回の『なんで家族を続けるの?』でも中野信子氏がご紹介していて…
中野 私、希林さんの本を……(本を取り出す)。
内田 何か読んでくださったんですか?
中野 『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(文春新書)。この本を読ませていただきました。これは書き下ろしではないんですよね?
引用:『なんで家族を続けるの?』(p36)

娘の也哉子氏の話によると、希林氏は生前執筆の依頼は全部断っていたそうです。
なんで?
自分は大したものでもない。大したことも言えない。自分の本を書くなんて資源の無駄、紙の無駄。これが理由だそうです。
じゃこの本は何なのよアータ?
マネジメントをご自身でやられていた希林氏。二次使用の許可が面倒という理由で、個人事務所の留守番電話に「二次使用はすべてご自由に」とメッセージを残されていた。
お亡くなりになった後に文藝春秋の編集者から、希林氏が書かれていたり、語られた内容をまとめたいと話が也哉子氏にあった。執筆を断ってきた希林氏を思い、しどろもどろになる也哉子氏にその編集者はこうおっしゃったそうです。
「二次使用はどうぞご自由に」っておっしゃってましたものね、と。
要するにこの本は切り抜きで出来ているわけか!
もう少し違う表現をつかえ
切り抜きで炎上。それは世間一般が持っているイメージが「負」であったり「陰」であったり、どこかしらマイナスなものを意図的に強調させ、明らかに悪意をもって広めた場合に起きる。
切り抜きの考察はこちらをご参照ください👇

この本が面白いのは、制作側の皆様が樹木希林氏をリスペクトし、惜別・万感の思いを込めて「樹木希林のことば」を集めたこと。それは切り抜きではない。
なんで?
悪意がひとかけらもない
発言の前後も載せているからね
売れると思ったわけねアータ
届けたいと思ったんだよ希林さんの声を!
「希林さんらしいなあ」「なるほどそういう視点もあるのか」「希林さん意外、そんなことも思っていたのね…」誰しもが知る、樹木希林氏。個々が勝手に抱いていたイメージと照らし合わせ読む。
内田裕也氏との世にも珍しい夫婦の形。全身をがんで侵されたお体から生まれる死生観。そこから発せられることば。それらをまとめて一冊の本にした!
これを読めば樹木希林氏がわかる!
これはまるで…
樹木希林の解体新書なのだ!
「この喝采、受ける本人がもういない。希林らしいね」(山﨑努)
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(表紙帯)
さあいきます!
平成最後のミリオンセラー!
時折、パラパラとページをめくり希林さんに会いに行く
この本は154にのぼる、樹木希林氏のことばを紹介しています。そのことばはワンフレーズで、あとはそのことばを説明したり、少し違う表現で言い直してみたり、少ない時は数行で、多い時は1~2ページにわたってお話されています。
すべて樹木希林さんのことばです
それでは各章の「わんちゃら的ベスト」な樹木希林氏のことばをご紹介しましょう!
時折パラパラとページをめくり希林さんに会いに行く
いつでも希林さんは笑っています
!?
おねえちゃんそれラムノがしゃべろうと練習していたセリフだよ
【第1章】生きること
53のことばを収録!
BEST!/53
“きょうよう”があることに感謝しながら
最近のわたしは、“きょうよう”があることに感謝しながら生きています。教養ではなく、今日、用があるということ。神様が与えてくださった今日用をひとつずつこなすことが日々の幸せだし、最後には、十分に役目を果たした、自分をしっかり使いきったという充足感につながるのではないかしらね。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p60)
これ同じこと言っている!
「即今、当処、自己」です。「今、ここで、私が、生きる」という意味です。実にシンプルです。今ここで、やるべきことをやるということ。もう、それを積み重ねていくしかないのですよ。世の中の真理というものは、「あるべきものが、あるべきところに、あるべきように、ある」ということです。ですから、それにのっとった生き方をすればいいわけなんです。
引用:『あなたの牛を追いなさい』(P210)
人生観が変わる!これを書くためにこのブログを始めたといっても過言ではない!中年の、同世代の皆様!中年の危機に瀕したらこれを読んでください!👇

先のこと、考えると不安になる。たぶん、これって当たり前で、いまどうしようもないことを、どうしようって考えているから、だと思うのです。どうせ悩むなら、今やらなきゃいけないことに対して悩んだ方が楽なのではないか。そうやって私たちは生きてきた。日々を重ねてきた。そして今がある。だからそれでいい。
そう考えると救われる気がします
【第2章】家族のこと
33のことばを収録!
Second-best/33
ん?Second-best?
Switch (Vol.22No.10)
内田裕也&樹木希林 そして御家族のみなさまです。
あたしだって面倒くさいから独りで逝きたいわよね
也哉子氏に、お母さんが先に死んでお父さんが残ると困ることがたくさん出てくるって心配があるんですよ、という書き出しで始まるこのことばが興味深い。
也哉子氏が占い師に、希林氏が簡単な死に方をする、と言われた。そして時々電話をして生きてる?と聞くようアドバイスを受けた。
ここからがへーと思う
占い師「お母さんが死ぬときには即座にお父さんの襟首つかまえて逝くから大丈夫よ」
だからね、その話をあたしが内田さんに喋ったの。そしたら「頼むから独りで逝ってくれ」って。あたしだって面倒くさいから独りで逝きたいわよね。でも占い師がそう言うんだもん。可笑しいったらありゃしないわね。ま、そんなふうに面白がってますから、あたしたち。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p111)
これ本当に実践したじゃない希林さんアータ
希林が境内のサクラを気に入って内田家の墓を建てた寺がキンモクセイの香りに包まれる季節、彼女は静かに旅立った。次にサクラが咲くのを待たずに裕也が逝った。
夫は妻のそれより少し大きな壺に入って、妻の隣にいる。
引用:『なんで家族を続けるの?』(P6 )
内田也哉子氏が母・希林氏を語る!👇

【第3章】病のこと、カラダのこと
10のことばを収録!
BEST!/10
逃げたってがんは追いかけてくるんだから
逃げたってがんは追いかけてくるんだから、やっつけようとすれば、自分の体もへたばっちゃう。だから逃げることもせず、やっつけもできないからそのまんまいるっていう感じです。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p124)
この記事が本書と超リンクしています!

あたしはとにかく、薬に用心深いんですね。風邪薬でもなるべく飲まない。もちろん抗がん剤を否定してるわけじゃないけど、あたしは飲みたくない。抗がん剤で髪の毛が抜けたり、生活の質を下げてまで治療するのは、どんなもんかなぁと。気持ち悪い日常生活を送りながらは嫌だってことですね。食べたいものを食べて、飲みたいものを飲んで、当たり前の生活を送りたい。でも病気は人それぞれですからね。他人のやり方に水を差すつもりも、自分の通ってるところを宣伝するつもりもありません」
引用:“全身がん”告白後の「樹木希林」が明かした死生観「面倒臭いから独りで逝きたいわよ」(2ページ目) | デイリー新潮
これ叶井俊太郎さんも同じこと言ってました!
私はこのサイトでがんという病気に関して何冊か本を紹介してまいりました。がんになった。私たちはどう生きていくのか。各著名人の皆様の生き方がとても参考になり、勇気づけられました。
ここでその記事を3つ貼っておきます。
『エンドロール!末期がんになった叶井俊太郎と文化人15人の“余命半年”論』
「抗がん剤で毛が抜けるのも、めちゃくちゃ痩せるのも嫌だから、やらない」超A級の生き方ここにあり!👇

『抗がん剤を使わなかった夫〜最期の日記〜』
「ママ、さよならだね」
泣きじゃくる私をからかうように言いました。私が怒ると、夫は「ハンバーガー食べて帰ろう」と笑いました。
引用:『抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日記~』(P13 )
告知後。叶井俊太郎氏と倉田真由美氏の会話です。👇

『がん闘病日記 お金よりずっと大切なこと』
「私が治療法を真似した唯一の事例は、叶井さんのものだった」と森永卓郎氏は言った。👇

希林さんの考え方もまた本当に染み入るなあ
【第4章】仕事のこと
19のことばを収録
BEST!/19
俯瞰で見ることを覚え、どんな仕事でもこれが出来れば、生き残れる
私はお仕事で関わっている人達を、自分も含めて俯瞰で見るようにしているんです。そうすると自分がその場でどんな芝居をするべきかがとてもよく分かる。初めてこの世界に入った時に、俯瞰で見ることを覚え、どんな仕事でもこれが出来れば、生き残れるなと感じましたね。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p132~133)
俯瞰といえばアオアシのアシト

スポーツに限らず使える!
例えば周辺視野。その1点のみ見るのでなく周りの状況も確認する。空間認識能力は自分がいまどこにいて、相手はどこにいて、何をして、何をやるべきか把握するもの。こういった力は、常に自分だけで精一杯になっていては発揮されない。
希林氏における、例えば舞台にしても、撮影現場にしても。
そして私たちにおける日常の職場にしても、俯瞰は絶対使える能力だと思います。
【第5章】女のこと、男のこと
12のことばを収録!
BEST!/12
相手のマイナス部分がかならず自分の中にもあるんです
どの夫婦も、夫婦となる縁があったということは、相手のマイナス部分がかならず自分の中にもあるんですよ。それがわかってくると、結婚というものに納得がいくのではないでしょうか。ときどき、夫や妻のことを悪く言っている人をみると、「この人、自分のこと言ってる」と、心の中で思っています(笑)。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p157)
これも「俯瞰」ですよね。イーグル・アイで夫婦で言い合いしている姿を上空から眺めているわけです。いや、心の中ですかね。とにかく「俯瞰」の一番のポイントは客観視、なのだと思います。
ところで仲の良い夫婦をオシドリ夫婦なんて言いますが…

オシドリは繁殖期になるとペアを作りますが、その関係はなんと繁殖期限定!繁殖期が終わるとペアは解消され、翌年には新しい相手とペアを組むんです。
つまり、オシドリは毎年パートナーを変える「自由な恋愛スタイル」を持っている鳥なんですね。これだけ聞くと、「おしどり夫婦」という言葉とのギャップにびっくりしてしまいますよね。
引用:【驚愕トリビア】オシドリ夫婦の真実|毎年変わるパートナー&慣用句の由来も解説! – 明日話したくなる!アニマルトリビア大全集!
オシドリは毎年パートナーを変える鳥です。遺伝子の多様性を高め、強い子孫を残すためと考えられています。繁殖期に効率よく相手を替えることで多くの子を残せるのです。オスは産卵後に去り、子育てはメスが一羽で担います。実は「おしどり夫婦」のイメージとは異なる生態なのです。
リアルオシドリ夫婦じゃない裕也&希林夫婦アータ
【第6章】出演作品のこと
27のことばを収録!
BEST!/27
人間が老いていく、壊れていく姿というのも見せたかった
『万引き家族』は、是枝裕和監督による2018年公開の日本映画。第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞。東京の貧しい疑似家族が万引きなどで生計を立てながら暮らす中、虐待を受けた少女を迎え入れ絆を深めていく。しかし事件をきっかけに家族の秘密や犯罪が明らかとなり、関係は崩壊する。血のつながりとは何か、本当の家族とは何かを問いかける人間ドラマです!
実は是枝監督の作品に出るのはこれが最後だと思った希林氏。ここである提案を監督にします。
「女優がそんなことをするのは、ヌードになるより恥ずかしいことですよ」って人に言われた。入れ歯をはずしたのよ。映画『万引き家族』で。髪の毛もだらぁと長くして、気味悪いおばあさんでしょう?
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p192)
自分も後期高齢者。店じまいを考えないといけない時期だからと語る希林氏。
人間が老いていく、壊れていく姿というのも見せたかった。高齢者と生活する人も少なくなって、いまはそういうのをみんな知らないでしょう?映画の中で、みかんにかぶりつく姿がすごいと言う人もいるけれど、実を歯茎でしごいたの。歯がないって、そういうことなのよ。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p193)
やっぱり女優さんって違うわよねー普通の人とは違うわよねーというのを、そっち?ってくらい違う方面で体現し続けた。
それが女優・樹木希林だった
!?
また横取りしたなセリフ
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
2018年9月30日東京・光林寺で行われた、希林氏の本葬儀。
本書巻末にあとがきの要素を兼ねた、内田也哉子氏の喪主代理(喪主は内田裕也氏)挨拶が掲載されています。
喪主代理の挨拶 内田也哉子氏
私が結婚するまでの19年間、うちは母と私の二人きりの家庭でした。そこにまるで象徴としてのみ君臨する父でしたが、何をするにも常に私たちにとって、大きな存在だったことは確かです。幼かった私は、不在の父の重すぎる存在に、押しつぶされそうになることもありました。ところが困った私が「なぜこういう関係を続けるのか」と母を問い詰めると、平然と「だってお父さんには、ひとかけら純なものがあるから」と私を黙らせるのです。自分の親とはいえ、人それぞれの選択があると頭では分かりつつも、やはり、私の中では永遠に分かりようもないミステリーでした。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p196)
実は救われたのは私のほうなんです
ここで最後の最後に【第2章】家族のことで語られていた、とっておきの個所を紹介します!
BEST!/33
世間の人は私をDVの被害者だと思っているかもしれませんが、内田には感謝しているんです。若い頃の私は、裡にマグマみたいな激しい感情や自我を抱えていて、「こんな状態でどうやって生きて行けばいいんだろう」と戸惑っていた。そんな時、更に激しい自我を持つ内田に出会ったのね。彼と一緒にいると、自分は意外とまともなんじゃないかと、楽な気持ちになれた。だから、実は救われたのは私のほうなんです。
引用:『一切なりゆき ~樹木希林のことば~』(p86~87)
これもまた愛なのねアータ
Thank you! ~55秒解決!
今回の【55秒解決!】
「家族のかたちに正解は無い!お互いが救われたかどうか、ここが夫婦におけるポイントである!ということを学んだ」
足元をすくわれるとは違いますからね
Let’s try it! ~いまからできること
①病気や現状をそのまま受け入れる
②俯瞰して眺めるよう心掛ける
③老いていくことに抗わず生きていく
これ出来るようになったらだいぶ楽



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