この記事は『なんで家族を続けるの?』という本をきっかけに、家族というコミュニティを考えるとともに、そこに隠された私たちを縛り付けるもののに迫ってみようという内容です。
この記事 こんな思いで書いています
この書評は、本の内容を整理するだけでなく、
中年期に感じる行き詰まりをどう越えるか
という視点で書いています。
※本の要点を先に知りたい方は、途中の見出しから読めます。
※ここからは、個人的な実感や迷いも含めて書いています。
Help me? ~いやあ、しんどいなあ
今回のお悩み:
「仕事にしても、家庭にしても、なんとなく今までずるずるとやってきたことに罪悪感を覚えるのですが…」
大丈夫救われますよ
今回も
令和ライフスタイルシリーズ第3弾!
前々回より3回連続で「令和ライフスタイルシリーズ」と銘打って、令和に生きる方々の日々の暮らしを書籍を通じて紹介、そして考察しております。
第1弾はこちら。『だから、ひとり暮らし』から見る、令和のシングルライフ。

第2弾はこちら。『15人家族 うるしやま家のママ流 笑顔がたえない36の家訓』から見る、令和の大家族を支えるママの「ひとり時間」に対する考え方。

そして第3弾!
なんという化学反応!身も心も温かになる!それはまるで「酸化鉄」カイロのような熱の放出!さあ、シングル&大家族を経て、辿り着いた「家族論」とは?
注)本書は内田也哉子、中野信子氏の順でご氏名が記載されています。本サイトもこの順でお二人を紹介させていただきます。
I like you! ~紹介する理由
106冊目はこちら!『なんで家族を続けるの?』(文藝春秋、2021年3月20日)でございます。
本書は対談構成です
まずお一人目。内田也哉子氏。1976年生まれ。東京都出身。エッセイ本の執筆や海外絵本の翻訳を手がける傍ら俳優としても活動。2005年には渡邊琢磨氏、鈴木正人氏と音楽ユニットを結成し、ボーカルを務めている。母は樹木希林さん、父は内田裕也さん。也哉子氏の生まれる前から両親が別居婚を送っていたため、希林さんにシングルマザー状態で育てられた。幼少期からインターナショナルスクールで学び、スイスやパリへ留学経験あり。19歳で本木雅弘氏と結婚し三児の母に。両親の影響を受けた独自の人生観を持つ。
そしてお二人目。中野信子氏。1975年生まれ。東京都出身。1998年東京大学工学部卒業、2004年同大大学院医学系研究科修士課程修了、2008年同博士課程修了し博士(医学)取得。フランス国立研究所ニューロスピンで博士研究員を務めた後、東日本国際大学特任教授、京都芸術大学客員教授などを歴任。脳科学を軸に評論・メディア活動を行う。仏壇や墓参りは情操教育に良いとし、他人の不幸を祈るのは自分にも悪影響と説く。前向きな祈りは脳に良い影響を与え、幸福感を高めるとの持論を持つ。
私たちは“普通じゃない家族”の子だった。
引用:『なんで家族を続けるの?』(表紙帯)
気になるわアータ
なにが普通で、普通じゃないのか。私たちを不安定にさせる、この普通という言葉。それは家族であり、生活であり、生き方であり、全てにおいてピタッとそばについてくる、ある意味不気味な概念である。
本書はこの「普通」の正体を見事暴いた、最高にロックな一冊なんです!
このお2人の家庭ってどうだったのよアータ?
内田 也哉子「Father&Mother Complex」
まずは也哉子さん
母・希林さんが夫・裕也さんを慕い「也」を名前の最初に持ってきた。そして「ややこ」は赤ちゃんという意味だそう。
この夫婦の始まりは一九七三年の夏。出会った翌日には裕也から「オレのヨメさんになってくれないかナ」とプロポーズした。五十日後には入籍するも、同居したのは一~二か月。妊娠していた希林が裕也を追い出したのだ。
(中略)
内田 そもそも父と暮らしたことも一度もない。生涯で会った時間の合計が算出できるくらい。たぶん数十時間だと思うんですよね。
お父さんは会社員、お母さんはいつもお家にいる。これが也哉子氏の毎度の嘘。目立つことなく落ち着いた両親のいる穏やかな家庭の子。それが也哉子氏の願いだったそうです。
別居後、裕也さんから送られてきた離婚届。無効の訴訟を起こした希林さんに、何と自分の弁護士に「あんなにイヤがっているんだから、別れてあげなさいよ」(引用:『なんで家族を続けるの?』p3)と言われたそう。
弁護士アンタww
裕也さんは大麻取締法違反、銃刀法違反、強要未遂ならびに住居侵入により3回の逮捕歴がある。
度重なる逮捕にも妻はさらりと言った。籍を入れた責任上、今後どうするかはそのつど考えながら引き受けていくしかない。夫のなかには今も純粋なもののひとかけらが見えるから。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p4)
そもそもなんで希林さんは裕也さんと離婚しなかったのかしらアータ
母は二回結婚していて、最初の結婚は、その幸せがあまりにも息苦しくて離婚したのね。その後、生きている意味もわからない、息をするのも苦しいブラックホールに陥ってしまった。そんなときに内田裕也というカオスと出会い、母はこの人に振り回されることでブラックホールを紛らわすことができると考えた。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p91)
裕也さんとの婚姻関係を継続させること。それは希林さんの自己救済だったのでしょうか。
自己救済という言葉を知った本です
自己救済…人生が変わる概念です!ぜひお読みください!

伝説の政見放送
「パワー・トゥ・ザ・ピープル(人々に勇気を)」
冒頭の破壊力
1971年発表のジョン・レノン率いるプラスティック・オノ・バンドのシングル。邦題は「人々に勇気を」。労働運動家らとの対談に触発され、直接的な社会変革を訴える楽曲として制作された。発売時はB面曲の歌詞問題で延期もあったが、英米でヒットを記録。反戦と変革の象徴的作品。
1:26あたりでカメラが寄ってるの
最高ねアータ
3:53で再び寄るの
打ち合わせ済みだろww
俺のまわりはピエロばかり
引用:内田裕也政見放送「完全版」 – YouTube
俺のまわりはピエロばかり
俺のまわりはピエロばかり
俺のまわりは映画のスクリーン
結局5万4654票獲得
候補者16人中5位でした!
そして。
2018年9月15日、樹木希林さんがお亡くなりになり…
希林が境内のサクラを気に入って内田家の墓を建てた寺がキンモクセイの香りに包まれる季節、彼女は静かに旅立った。次にサクラが咲くのを待たずに裕也が逝った。
夫は妻のそれより少し大きな壺に入って、妻の隣にいる。
引用:『なんで家族を続けるの?』(P6 )
ご両親の逝去にあたり也哉子氏は「ファザー&マザー・コンプレックス」が到底消化されず、以降いびつな家庭のエグザンブル(見本、模範)の提示を求められる機会が増えていった、と仰っています。
なによこれだけでもう終わってもいいくらいじゃないアータ
中野 信子「君は壊れた家の子だからね」
次に中野さん
疎外感のいちばん古い記憶は五歳かな。幼稚園で周りに「変だよ」と言われて、何で変だと言われているのかわからず、ずっと浮いていたのを覚えている。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p80)
幼い頃から疎外感を抱いていたという中野氏。中野氏がまた也哉子氏と違う苦悩を抱いていたのは、ご両親が良き相談相手、そして理解者になり得なかったということでしょう。
しかもうちの場合、親に相談しても「あなたが悪い」ということになる。というのも、両親は信仰熱心な性質だったので、いわば個人の意思よりも団結や結束を大切にする側の人たちなんです。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p81)
こどもよりコミュニティを
大事にする
父親って、子どもの私にとってはただひたすら怖くて、どう扱っていいかわからない存在だった。父と母は仲が悪く、物心ついたときには家には会話がなかった。「おはよう」の挨拶もない。友だちの家に遊びにいくとご両親がしゃべっているのでビックリして、これが普通なのかとショックだった。
(中略)
うちの親は同じ家に暮らしているのに、お互いに見えてないみたいに振る舞っていた。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p84)
中学進学を機にご両親元を離れ、東京の祖父母宅から私立校へ。そして高校生の時に両親が離婚。中野氏が高校3年生の時にお母さまが家を出た。
惚れっぽいお母さまだったそうです。
お父さまではない、ほかの男性の元に行ってしまった。
ペルソナ
私の性格がおかしい原因をたずねれば、それは脳のどこかにあるはずだ。
引用:『ペルソナ 脳に潜む闇』(p203)
中野さんが脳科学者を目指されたきっかけ
ところで「君は壊れた家の子だからね」って何よアータ
中野さんが28歳くらいに結婚しようと思っていた人に言われた言葉なんですって
お相手はエリートの男性。しかしこの言葉を聞いて中野氏はお別れされたそうです。
也哉子氏はあまりにもご両親が有名なため、その家族状況が特殊に感じますが、中野氏の家庭も相当なかなかですよ。まだ経済的に自立できない子どもにとって、親が自分を理解してくれない、理解しようとしないこと。私は「虐待」だと思う。個人的に。
てなわけで。
普通じゃない家族の子だったお二人の対談です!
私たちを縛るものの正体とは
ここからは目から鱗の知見の嵐!
中野信子氏の見解に何度も脳汁が溢れ出しました!面白い!
簡潔に私なりの解釈にて紹介していきます。
社会通念の罠
中野氏によると脳科学的に父親と母親の本来の役割は「ない」とのこと。どんな環境になっても子は育つ。だから「親はこうあるべき」という考えが逆に自分たちを縛り付けている、と考えられています。
どういうこと?
これを社会通念といい、このスケールにどれだけ外れているか、外れていないかで是非を確認する。私たちは生きてきた中でそれを学習してきている。
アータ夫はしっかりお金を稼ぐ 妻は家庭を支えるみたいなことね
お父さんお母さんと子ども二人とか
先述した「普通」ってやつですね、あれです。
マジョリテイ=正しい
こと親に関しては「正しい」はないのに
アーリー効果
ある俳優が不倫をした。そうなると周囲は演技のことでも何でも叩く。集団心理か同調圧力か。也哉子氏の「同調することが人間が生きるためには大切なの?」(引用:『なんで家族を続けるの?』p88)の問いに中野氏は…
そうなの。ある生き物が「①ポツンと一匹いる」「②小さい集団でいる」「③大きい集団でいる」。このどれが最も生き残りやすいかというと、「③大きい集団」なの。アリー効果といって、生物の原則といっていいもの。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p89)
集団で叩くのは生き残るため。
しかし中野氏は、生き延びるために叩くことはいいことだ、と思っていいはずなのに、「ひどいことだ」となることが面白いと仰っています。
それもまた倫理や道徳の仕業でありそれらが社会通念となって…
ハラスメントなどの輸入概念の影響もありそうねアータ
イエという子育てユニット
家でなくイエ。本書のこの部分では、漢字でなくカタカナで表記されています。
家という既成概念からまずは離れてという意味でしょうか
この問いに対し中野氏は「イエとは貧しい国の子育てユニット」と定義しております。
貧しい国ってどこが?
日本だよ
耕作面積は少ない。災害にも遭いやすく資源も少ない。「潜在的に」という枕詞が付くが、日本は貧しい国。こういう環境では、子どもが生まれても社会が「あとはまかせとけ」とはならない。
逆に社会が「まかせとけ」なんてところあるの?
たとえばフランス。この国は60%近くの子供たちが現在、婚外子だそうです。ふたりお父さんがいる。この男の人はママの彼氏、とか。南ヨーロッパには比較的「パートナーを探す」的な振る舞いをする遺伝子の持ち主がデータ的には多いらしい。
日本は台風がきて地震がきて、優雅にパートナーを探してなんて余裕がない。
結局子どもを作った当事者同士が…
自分で餌を賄えるようになるまでは、コミットしなければいけない。だから、その間はそのユニットで頑張りましょうというのが「家族」ですよね。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p181)
イエという言葉にもお国事情が影響しているってわけねアータ
なんで家族を続けるの?
そして核心へ
妻子を人質に、という考え方
先に触れた、スタンダード(といわれる)家族の形はここ百五十年くらいで一般化してきたあり方。お父さんは一家の大黒柱的なやつです。
いままで考えもしませんでしたが、中野氏はこの家族の形は社会的にメリットがあったと書かれている。
何が便利だったかというと、会社組織ないしはコミュニティが、男性を働かせ続けるために妻子をいわば人質にとることができるわけです。人質というのは聞こえが悪いかもしれませんが、扶養家族を持っていることで、男は簡単に離職することができなくなるわけです。そこに、女が働くことはあまりよしとされないという通念も主として経営側の論理として生まれてきます。組織体にとって、婚姻関係によって妻子を持たせるというシステムは、労働力の確保という点では極めて理にかなった構造であったのです。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p220)
この切り口はお見事ですね。
だから結婚しなくなるよなって思うもの。
結婚をすべき、という社会通念。対して人口減少、経済停滞等理由で衰退している日本の社会の現状。
その神通力も影響が弱まってきている、ということなのでしょうね。
家族を続ける理由
中野氏は也哉子氏も含めて、
也哉子さんも私も、今の社会通念に抗って世間の糾弾の矢を浴びようとも思っていない。生硬なやり方で自分の考えを表明するには、私たちは十分、年齢を重ねてきてしまっている。
家族を続ける合理的な理由がもし一つあるとしたら、こうした経験的な知恵に従って、というところが実は大きいのではないでしょうか。
(中略)
もちろん、一緒にいて楽しい人と結ばれたいというのは大原則です。けれど、一緒にいるだけなのであれば、結婚という法的な根拠は特になくてもいいわけです。しかし、結婚という形態をとったほうが、社会を構成する多くの人を納得させることができ、その人にとって心地よい安定的な状態を現出させることができる。だからそれを選択しているということになるのでしょう。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p221~222)
最終的に社会通念を逆手にとって、Win-Winでいこうという考え方です。
社会通念を理解して付き合うか、その正体に気づかないまま踊らされているかの違いですが、その差は歴然です。
前者の場合は、結婚生活、家族という形態がうまく行かなくなった時に自分の精神的な危機をうまく回避できる。そして一歩目を早く踏み出せるような気がします。
様々な気づきに溢れた本でした
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
也哉子氏が本木雅弘氏との結婚を「惰性で今も夫婦でいるのかもしれない。でも、その惰性がとてもしっくりくるし、今では子どもが側にいなくても、ふとした瞬間に多幸感を覚える」(引用:『なんで家族を続けるの?』p99~100)と仰っているのに対して、中野氏のご発言。
そういうの素敵だなあ。私、惰性というのは大事だと思っているの。「惰性で続いている」というのは収まるべきかたちに収まった、という意味でしょう。水を流すと溜まるべきところに溜まるでしょ。そういう生き方を目指すべきなのではないかと思うのよね。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p100)
本の面白さはその文脈やフレーズを、自分の置かれている環境に落とし込んで利用、引用していくことにあると思います。
確かに、ここの流れでは「結婚生活は惰性である」「でも惰性って大事」なのですが、別に結婚にこだわる必要はない。今の仕事だっていいし、それこそシングルライフでもいい。
なんだか毎日、なんとなく過ぎていくなあ。
焦りまでいかなくとも、無力感に苛まれることがあったとしても「惰性は大事。収まるべき形に収まっている」という考えは、そんな自分を肯定してくれる、中年こそ知って欲しい考え方だと思いました。
救われますよこの言葉は
内田也哉子という世界
終盤にどうしても書いておきたいことがひとつ。
本記事の構成上、中野信子氏の言葉を多く取り上げておりますが、これはすべて内田也哉子氏のもつ、人間力が引き出させた言葉であると思います。
以前中野氏は…
一方で、何度も繰り返し訊かれてきたようなことを質問され、何度も同じようなお答えをすでに返しているのだが、ということを訊ねられると、なんだか落胆してしまう。剰え、刊行物にもなっているような問いを受けるとき、ひどく残念な気持ちになってしまう。本気でその答えを探しているのであれば、どこかで私が同じことを述べているのを見聞きしているはずではないのだろうか。
引用:『ペルソナ 脳に潜む闇』(p25)
しかし、内田也哉子氏に関しては…
だいたいは「また中野がおかしなことを」とスルーされるのですが、也哉子さんは聞いてくださる。うれしくて何でもお話してしまうんです。
引用:『なんで家族を続けるの?』(p146)
一方、也哉子氏も本書の冒頭で、初対面の中野氏に対して「彼女となら、どんなことでもお話ができるはず」という、不思議なほどの確信を覚えた(引用:『なんで家族を続けるの?』p10)という感想を述べられています。
ウマがあう
午年だけに
ぶち壊すな最後に
Thank you! ~55秒解決!
今回の【55秒解決!】
「普通なんてただの社会通念だし、惰性というのはあるべきところに収まったかたちなのだ、という考え方を学び気分が明るくなった」
惰性万歳!
Let’s try it! ~いまからできること
①普通という言葉とうまくつきあっていく
②むしろ惰性で過ごせる環境に感謝する
③大半が正しいのは社会通念という罠なのだと思う様にする
人生が一度しかないというのも社会通念に踊らされる理由かもしれないわねアータ


コメント