この記事は『異人たちとの夏』を読み、高名な心理学者の解説を読みながら、40代の戸惑いを研究することを試みたものです。
今回は完全ネタバレです
予めご了承ください
この記事 こんな思いで書いています
結論を急ぐ人向けの記事ではありません。
中年期の迷いの中で、本を通して得た気づきを
言葉にしています。
※本の要点を先に知りたい方は、途中の見出しから読めます。
※ここからは、個人的な実感や迷いも含めて書いています。
Help me! ~いやあ、しんどいなあ
今回のお悩み:
「中年のが抱く倦怠感ってどこか死の匂いがしませんか?」
んなこたーない!
夏バテじゃないアータ?
疲れているのかなあ
それならばこの本をどうぞ
Who are you? ~どんな内容?
129冊目はこちら!『異人たちとの夏』(新潮社 1987年12月15日)でございます。
著者は山田太一氏。1934年(昭和9年)6月6日東京市浅草区生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。在学中には、後に劇作家となる寺山修司氏と親交を深められました。卒業後は松竹に入社し、木下惠介氏に師事。助監督を経て、1965年に退社し、フリーの脚本家へ。1968年の『3人家族』を皮切りに、『岸辺のアルバム』『男たちの旅路』『ふぞろいの林檎たち』など数々の名作を発表。『それぞれの秋』で芸術選奨新人賞、『日本の面影』で向田邦子賞、『異人たちとの夏』で山本周五郎賞を受賞。テレビドラマ界を代表する脚本家として活躍されました。
第1回 山本周五郎賞受賞
静かな夏の日、彼は懐かしい父母の面影を追い、孤独な都会の夜を、美しく心安らぐ恋人と過ごした。しかし、窓に二つの、男と女の影はない。いったい、何故?灯がゆらめく夜に、物語は幻の光に包まれるー
引用:『異人たちとの夏』(単行本 表紙帯)
今作品は昭和63年9月に全国松竹系公開となりました。
映画の予告編です
28年前に死別した両親に出会った!
引用:『異人たちとの夏』(予告編)
怖い話じゃないの
アータッ!
あれ鶴ちゃんさんですか!
定期的にあがる、片岡鶴太郎氏にヨガライフ。鶴ちゃんもまたヨガに自己救済されたのでしょうね。

自己救済とは当サイトの核ともなる考え方です。能動的な行動が最終的に自分を救済する。「好きこそ物の上手なれ」の行きつく先。
自己救済の事例2連発!
◇究極の自己救済の果て!その一部始終はこちら!
選挙と金に翻弄された夫婦の物語

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この人の人生もドラマ化できそう

さて、今回の『異人たちとの夏』ですが河合隼雄氏の『中年クライシス』という本で知りました。
著者は河合隼雄氏。1928年6月23日、兵庫県多紀郡篠山町(現・丹波篠山市)出身。京都大学理学部数学科を卒業。その後、京都大学大学院に進み、数学を学ぶ一方で心理学にも関心を深められます。大学院在籍中は高校の数学教諭として3年間勤務し、ロールシャッハ・テストを通じて心理学の研究へ本格的に進出。1959年にはフルブライト奨学生としてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)へ留学。さらに1962年から1965年までスイスのユング研究所で学び、日本人として初めてユング派分析家の資格を取得されました。2007年脳梗塞で逝去。79歳没。
箱庭療法を日本に紹介された偉大な心理学者!
どんな本なの?
ここに中年の問題に焦点を当て、一章ごとにひとつの文学作品を取り上げて、それを通して論じることにした。中年は壮年とも言うことができるが、もっとも意気盛んで、問題のないときとも考えられるし、相当な危機にあるとも考えられる。
引用:『中年クライシス』(p7)
河合隼雄氏によれば…
・人生後半戦!自分はこれからどこへ行くのか。嫌でも考えざるを得ないステージである。
・平均寿命が延びたため、定年後の生き方に取り掛かろうとする年代である。
中年は現代日本をどう生きていくべきなのか。まさにこのサイトの「テーマ」!
『異人たちとの夏』の主人公も
40代後半!
まさに『君たちはどう生きるか』
じゃないのアータ

というわけで今回は『異人たちとの夏』本編の紹介に加え、『中年クライシス』における解説もあわせてお送りします!
まずは異人たちの夏
ダイジェストでどうぞ
異人たちとの夏~ダイジェスト編
屋根を歩く
主人公の原田は47歳 とあるマンションの7階の仕事場に住んでいる
「静かすぎる」マンション。昼間は事務所として人の出入りはあるが、夜は静まり返っている。

その後原田は3階に30代半ばの女性が住んでいることを知った
その4、5日後ー。
R局のプロデューサー間宮が話があると自室にきた
聞けば別れた妻・綾子に近かづかせて貰います、という交際宣言だった。離婚成立までの間、妻は間宮に会っていたのか。心中穏やかではない原田だったが「成功を祈るよ」そう言って間宮を見送った。
その日の夜
10時24分…
訪れる女性
人と逢う。そんな気分ではなかった原田の元にあの女性が訪ねて来た。

酒持って見知らぬ男性の家に行くってなかなかねアータ
世の男性の代表的妄想とも言える展開にも、原田はこう言い放つ。
「急ぎの仕事があるので」(p24)
なんていやな女なんだ。込み上げる不快感。しかしそれは目の前の女性のことではなく、ほんの40日まえまで妻だった女に対してである。
よほど腹が立っていたんでしょうね
女性の来室を拒んだ原田。しかしその後、相手をすべきだったのではないか、相手は自分に何かを求めていたのではないか、という思いに駆られる。悩む原田だったが、結局最後は間宮と綾子から受けた打撃と戦っていた。
故郷への回帰
8月4日。原田の48回目の誕生日。原田はふと生まれ育った町「浅草」に行こうと思った。そして立ち寄った浅草演芸ホール。そこで原田は父と似た、いや父としか思えない男性にあう。
半信半疑の原田。当たり前だ。原田の両親は交通事故で、父親が39歳、母親が35歳で亡くなっていたからだ。
ホールを出た後「父」は
原田を家に誘います
アパートの2階。奥さんがいるのか…まさか。まさかと思うけれど。

まるで三十五の母だった。(引用:P51)
原田は少年時代に戻ったような
安らぎを覚えた
そしてー。
「本当はぼくの両親なんでしょう?」タクシーで帰る途中、心の中で何度も二人の声をくりかえす原田。
街の灯がきらめき、信号の色まで美しく見えた。
引用:『異人たちとの夏』(p55)
幽霊ね幽霊なのね
アータッ!
うるさいなあ
多層的な現実
浅草の夜のあと、活気を取り戻した原田は精力的に仕事に取り掛かる。その数日後、あの女性から電話がきた。
「のみます?」
「いいですか?」
「土曜日です」
女性の名前は藤野桂。藤の桂じゃ継ぎ木のようなので…
「出来たらアルファベットのK。またはカタ仮名のケイのつもりでお呼び下さい」(p60)
ついに結ばれた二人。
似ている。だが、そんなはずはない……
引用:『異人たちとの夏』(敦煌本 表紙右裏)
妻子と別れ、孤独な日々を送るシナリオ・ライターは生まれ育った浅草の町で、幼い頃死に別れた父母とそっくりな二人と出逢った。こみあげてくる懐かしさに身を任せ続け、不思議な体験に激しく揺さぶられる主人公。しかし、美しい恋人ケイは、もう決して彼らと逢わないでと迫った。いったい何が起きているのか。静かな夏の夜、窓に二つの灯がゆらめくーー
彼らと逢わないで?なんで?
あれから何度か浅草に足を運んだ原田だったが、周囲が心配するほど痩せていく。
ケイは両親と逢うたびに
衰弱していることを指摘
呪いよ呪いだわ
アーターッ!!
どうかしていたのか?
泣く泣く両親と別れた原田。良かった。ホッとするケイ。しかし衰弱は止まらない。ここで再び間宮登場。原田の消耗振りを心配していた最中、間宮は偶然にも原田とケイが歩いているのを見ていた管理人から衝撃の事実を聞いてしまう。
管理人「あの女性…305号室にいた人に見えた」
当たり前じゃん
305号室に住んでいるんだもの
いやそれが

はいきたコレ
きました
アータッ
そして最終決戦!原田と間宮の前にケイ、出現!

(引用:p207)
原田と間宮の
運命は?!
異人たちとの夏~四十の惑い〚解説編〛
ここからは『中年クライシス』の
解説編に移ります!
まずはこちらからどうぞ
養老孟司氏による巻末エッセイ「おとな」
このエッセイで養老孟司氏は河合隼雄氏を「本読みの達人」と称しています
『中年クライシス』という本は、私はいつもの習慣で横須賀線の中ではじめて読んだ。感心しながら引き込まれたから、そのときのことをよく記憶している。山田太一氏の『異人たちの夏』の解説などは、解説にあまりに感激したので、肝心の原作を読む気がなくなってしまった。こういうみごとな解説は、ある意味ではよくない。あらかじめ小説を読んだ人しか、読んではいけない解説なのである。山田氏の小説が、解説ほどでなかったらどうしよう。私はついそう思ってしまったのである。
引用:『中年クライシス』(p196~197)
どんな解説なのか気になる
屋根を歩く〚解説編〛
40代は屋根に立っているようなもの。足を踏み外せば大変。右も左も景色が違う。
三十にして立つ。
四十にして惑わず
五十にして天命を知る
孔子ですね
四十にして惑わず。つまり四十までは惑っていた。そして一応惑わないにしても、天命を知るまでに至っていない。
じゃああんた結局どっかで惑っているでしょうよ40代もって話です
そんな40代の惑いを的確に描いた作品。それが『異人たちの夏』。
ここでは間宮に「成功を祈るよ」と言ったときの原田の心境を解説
感情を爆発させてしまったら、中年の分別が壊れて、あとで強い自己嫌悪に陥るだろう。さりとて、感情を何も発さずに、原田のようにやっていると、その影響は思いがけないところに出てくる。原田のように、間宮の帰ったあとにやってきた女性にお門違いの意地悪をしたり、あるいは心身症のような症状に苦しめられたりする。感情を適切に表現することは、現代の中年者に課せられた実に難しい課題である。
引用:『中年クライシス』(p32)
自分は物分かりがいい大人なんて思っているけど変に機嫌が悪かったりして周りから見て面倒くさい奴になっているパターンねアータ
訪れる女性〚解説編〛
こちらでは原田がケイのシャンペン来訪を拒否した場面を解説
夜10時過ぎ。美女が飲みかけのシャンペンを持ってくる。しかしこの状況を「鴨ねぎ」と感じて喜ぶのは若者。中年はそうではない。
中年の感情は屈折して、テンポが遅れたり、方向がずれたりする(p33)
一人になって人恋しくなりかけたときにやってきた間宮も女性も拒絶したために、原田の孤独の次元はもうひとつ深くなる。そのような深い孤独が、中年にはやってくる。あるいは、必要なのである。そのような次元の深い孤独を味わってはじめて、のちに原田がするような深い経験が生じるのである。
引用:『中年クライシス』(p33)
10代20代の存在価値を見出す時期に比べ自分が取った行動による自己嫌悪が多い年代のように感じるわアータ
故郷への回帰〚解説編〛
こちらでは原田が浅草で両親と「再会」したシーンについて解説
両親から経済的に独立し家庭を持つ。しかしこのような自立のあとで、実はそれほど自立していないことを中年になると理解してくる。
そんな時に先に述べた深い孤独やいろいろな「関係」の見直しを迫られるそうです
原田は十二歳で両親を失って以来、「ほとんど泣いたことがない」という。「自立的」に頑張ってきたのだ。しかし浅草を歩いて、「両親といた頃を強く甦えらせるなにかにぶつかったりしたら一瞬のうちに身につけている鎧の糸という糸がちぎれて、素裸になり、みすぼらしくただ泣き崩れてしまいそうな気がした」。鎧を身につけ、泣かずに頑張るのは、本当の強さではない。本当に強くなるためには、鎧をぬぐ必要があるし、それを可能にするためには、心の故郷への回帰を必要とするのである。
引用:『中年クライシス』(p37)
こちとら腹見せてんだ!
さっさと撫でんかい!
鎧など最初からないね
お姉ちゃんは
多層的な現実〚解説編〛
ケイから指摘された衰弱の原因である両親との別れを解説
映画の予告編でもありましたね。ケイが原田に抱きついて「助けて!この人を助けて!」この場面。原田は突然こみ上げるようにケイへの愛を感じて強く抱きしめる。なにものかへの祈りを経て人と人が愛し合う。この体験ののち原田は両親と別れることを決意。
毎回会うのは浅草のアパートでしたが最後は外食先で想いを伝えた
悲しそうな両親
母は「このままやって行けるわけないと思っていたのよ」と言った。三人は最後にすき焼きを食べに行くが、途中で父母ともにだんだんと薄くなって消えていく。原田は「ありがとう。どうも、ありがとう。ありがとうございました」と、去っていく両親に感謝の気持ちを伝える。両親にはっきりと別れを告げ、感謝の気持ちを伝える。このことを両親が生きているうちにできた人は幸いである。しかし、できなかった人も、死後何年も経てから、原田のようにそれができるチャンスはあるのだ。悲しい別れであったが、それは必要なことであった。
引用:『中年クライシス』(p40)
いやいや原田みたいなチャンスなんてないわよアータあったらそれで興奮するけどアータ
どうかしていたのか?〚解説編〛
ケイの正体と原田と間宮の関係性を解説
原田は両親と別れても衰弱が止まらず、訪ねてきた間宮に思いがけないことを聞かされた。ケイは、実は原田を最初に訪ねて断られた夜、胸を七ヵ所も突いて自殺していたというのだ。つまり、ケイも異界の人だったのである。
引用:『中年クライシス』(p40~41)
それはそうとなぜご両親と別れたのに衰弱が止まらなかったの?
愚問通り越して心配になるレベル
間宮は原田の分身だという。表層の現実に忠実な生き方をする間宮。片や原田は異人たちともう一方の「現実」を過ごした。そして、結果として間宮の現実性が原田を救うことになった。
「どうかしていたんだ」間宮は言った。原田は逆らわなかった。
(前略)何か言いたい気持ちもありながら、ただ黙ってそれに従っているより仕方がないような状況に追いこまれた中年の人は、ずいぶんいるのではないか。一般には表層の現実の重みが非常に強いので、黙っているのがいちばん賢明だろう。しかし、そのとき心のなかで、確かに「ありがとう」と言えるような体験をした人は、惑いを通じて少し「天命を知る」ほうに近づくことができたといえるのではなかろうか。
引用:『中年クライシス』(p42)
こんな感じでため込むからまた変なとこで拗れるのよアータ
容赦ないな
Present for you💐 ~揺さぶるフレーズ
原田とケイのある時の会話です
「幻想を抱かないで欲しい」
引用:『異人たちとの夏』(p183)
「どんな?」
「分からないが、どうして僕のような男がいいのか、という思いを拭えない。実体を知らないのではないか、と考えてしまう」
「誰だって幻想は持つわ」
「それはそうだが、実体はつまらない男だ。それだけいっておく」
「つまらない男でもいいっていって貰いたいのかな?」
「そうかもしれない」
「そんなのずるい。つまらない男なら、つまらなくなくなって下さい。いまのまま、全部肯定しろっていうのは、虫がいいわ」
お洒落だなと思う一方80年代のバブル感がして最高

それは中年になる前から分かんなきゃ駄目よアータだから離婚するのよアータ懲りないわねほんと
原田さんに恨みでもあるの?
Thank you! ~55秒解決!
今回の【55秒解決】
「中年の惑いは、やがて天命を知るための必要なステップなのだと学んだ」
中年はつらいよ
Let’s try it! ~いまからできること
①ため込まない方がいいが感情表出に気を付ける
②中年も結構拗らせ体質 だから素直になるほうがいい
③両親に感謝する


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